降臨
こんばんは 投稿の時間がいつもより遅いです。申し訳ございません。
僕らの目の前で一心不乱に祈りを捧げる大神官ファネさんと神官のエメリさん、レマさん。
美人さんの真剣な顔は絵になるよね
しかし 本当に微動だにしない
でもさぁ・・・
仮にここでまた神託が降りて来たとしても、どうやって証明するのかな
まさか僕らにも神託が聞こえるとかそういうこと?
「 いえ、もっと分かりやすい方法ですわ 」
「 へぇ 例えばどんな? 」
ん? なんかどこかで聞いたような声?
「 はい顕現して見せるのが一番分かりやすいかと 」
「 え、? この声って ・・・ 」
僕の声と同じタイミングで
「 神託です ディー様のお声が聞こえます 」
「「 はい、大神官様 確かにディー様です 」」
ファネさんの声に反応するようにエメリさんとレマさんも同意の声を上げた。
っていうか さっきの声の事?
「 ファネ そしてエメリ、レマ。 そなた達の信仰の深さに感謝します 」
僕らの目の前に眩しい光が輝いて、声の主の姿が光の中に現れる。
「「「 ディー様 」」」
祈りを捧げていた3人の声が綺麗に重なる。
やがて光が徐々に収まってゆき、声の主の姿が徐々に露わになる。
「 えーと デニエだよね・・・ 」
先ほどの声は聞き覚えがあった、そして目の前に現れた姿はやはり僕の知っている高位精霊
そう、土精霊次席のデニエだ。
「 はい、リック 」
嬉しそうに僕の側にやってくると、抱き着いてきた。
「 えーと デニエが豊穣の女神ディー様なの? 」
デニエの側には一心に祈りを捧げる大神官様達
これって、デニエ=ディーってことだよね。
「 何故か千年程前からそう呼ばれているのですよ 土精霊次席として豊穣に貢献してきただけなのですけどねぇ。 まぁ土地改良方法とか、肥料の作り方や病虫害対策を指導はしましたけどぉ 」
「 いやぁ 十分でしょ それで神格化されたのかぁ すごいね 」
「 いえ、ディー様の功績はそれだけではございません!! 新たな農機具を人々に与え、荒れた土地を耕せるようにし、さらには治水を指導してくださったのです 」
ファネさんが熱っぽく語る。
「 孤児院をお作りになり孤児を救い、治療師を育て多くの病人を癒されました 」
エメリさんの言葉にレマさんが大きく頷いている。
それはもう完全に神様の功績になってくるよね
なんか、学校の先生が言っていた古代中国の神農みたいだ。
人々に農業と医療を指導し神と呼ばれた伝説の賢人。
うん デニエもきっとそうだったんだね。
そしてそれが大地教の誕生につながり、その精神が今も生きているってことか。
「 私としては そんな大したことをした気も無いですし ましてや私が神と呼ばれるのは大変におこがましいのですが、実はトォーニ様からも許していただいております 」
少し恥ずかしそうにデニエが話してくれた。
「 トォーニ様が良いというのなら問題ないでしょう 神様は一人しかダメなんてことも無いのだろうしね 」
日本には神様が八百万なんて言うくらいで、とんでもない数いるみたいだし、ギリシャ神話にもいっぱい神様が出てくるしこの世界でも問題は無いのかと。
「 でも黙っていてごめんなさいね リックが大地教の本山のあるこの街に長居してくれそうだから嬉しくて、ついこの子達にね言ってしまったの 」
それが神託として受け取られたと・・・ 真相はそうだったのですか
「 デニエ様 ですからご自重くださいとあれほど・・・ 」
いつの間にかデニエの後ろに控えていたお付きのメイドさん そう羊族メイドのフェリリさんだ。
気配も感じさせず急に現れる、これもメイドスキルのなせる技というやつなのだろうか。
「 左様でございますわ デニエ様付きのメイドであれば当然でございます 」
僕の疑問に答えてくれたのは、これもいつの間にか・・・しかも僕の背後に現れて耳元で囁いてくれた
狐族メイドのレイルさんだった。
「 あのぉ 僕、今の疑問声に出してました? 」
「 いいえ、 リック様はお声に出されてはおりません 」
「 ですよねぇ ・・・ でもじゃあ なんで? 」
「 デニエ様付きのメイドである私共には、主の思い人の心中を察する能力も必須でございます 」
「 メイドの嗜みですか 」
「 左様でございます 」
レイルさんにニッコリと微笑みながら断言されてしまいました。
やっぱりメイドさんって・・・ すごいんだね。
ディー様ご本人降臨でございます。