エキサイト
こんばんは本日の投稿になります
「 疲れたぁ 」
肉体的には疲れはほとんどない、主に精神的に疲弊しました。
だってね冷静に考えてみようよ
夕暮れ時の大通りで、沢山のタイプの違う美人さんに囲まれて歩いているだけでも色々気疲れするのに
その場で家の手配から家具の調達まで始まろうとする勢いだったから
それこそ必死にお願いして、即決だけは回避してもらって
家具は家が決まってからということで何とか納得してもらった・・・
そんなことをしていたらすっかり日は暮れているし
その後に痺れを切らしたセオが僕を迎えに行く途中だったらしく
鉢合わせしてそこでまたひと悶着・・・
その後何とか宿に辿り着いたのだけど
「 なぁリックぅ お腹が空いたよぉ 」
そうだね マーサの言うとおりだ
でもね、とても食べに行ける状況じゃないよね
「 ですから リック様のお世話をさせていただくためにも せめてこの2名はお側におかせていただきたいのです 」
「 必要ありません!! 大事な主様のお世話は嫁である私たちで十分です 」
何が起きているかと言うと
セオと大神官のファネさんとの悶着が継続中なのです。
街中では決着がつかず、しかも人目も多すぎることから宿に場所を移して第2ラウンドです
ちなみに開始以来すでに30分以上経過していますけれど、いまだに堂々巡りを繰り返しています。
神官のエメリさんとレマさんを僕の側に置くように主張する大神官様
それを断固拒否するセオ
女神ディー様の御意向であり、本来なら全ての神官がお側に仕えてもおかしくないと主張すれば
確かに素晴らしい主人なので仕えたい気持ちは分からなくはないが、嫁がいるのだから遠慮しろと反論する。
ならば2人が側室にしてもらえれば良いのかと大神官様が無茶を言い出せば
心から主人を愛しているのならともかくとして、そうでない者を認めるわけにはいかないと正論で弾き返す
しかしセオがここまでエキサイトするのも珍しいねぇ
「 そもそも その女神ディー様とやらの神託は そちら様の主張だけですよね 」
まぁセオの言う通り一方的にこちらも言われているだけだしなぁ
「 ディー様の神託は大地教の本山神官の全てが受けております それに疑念を挟むとは・・・ 不敬です 」
ファネさんが信じられないモノを見るように声を上げる
まぁ信仰心の強い人にとってみれば神託を否定されるなんてものすごいショックだろうからねぇ
といっても・・・
僕にしても大地教の存在は今日知ったしくらいだし
うちの関係者に信者もいないしなぁ
「 では、ディー様とやらの神託を客観的に証明してくださいまし 」
セオさんそれは余りにも冷静な正論過ぎますよ・・・
当然のことながらファネさんは
「 私どもが嘘をついているとおっしゃるのですか!!!! 」
ほらね・・・
「 誰も嘘だとは言っておりませんが、残念ながら夫も私たちも信徒では有りません。 大地教の存在は知っておりますし、貧者救済や孤児院の運営など大変に尊敬できる活動を行っていることも存じ上げております 」
「 ならば 何故!! 」
「 話は最後までお聞きください!! 」
セオがファネさんの発言を遮って話を続ける
「 大地教自体は信頼に足る実績と歴史を誇っていることは多くの者が認めるところですし、私も同意します。しかしそれと、今回の問題は別です。愛する夫の側に突然現れた女性が押しかけてくるのを快く迎える女房など滅多におりませんし、少なくとも私どもには無理です 」
セオがキッパリと言い渡したことは、当然と言えば当然なこと。
流石にここまで言われれば、ファネさんも引いてくれるかな。
「 ・・・ 確かに私どもも高揚するあまりご迷惑をおかけしたことは事実です 謝罪します 」
ファネさんが深々と頭を下げてくる
「「 申し訳ありませんでした 」」
意をくんだようにエメリさんとレマさんも同じように頭を下げてくれる
「 しかし 女神ディー様の神託は厳然足る事実であり 我々がリック様をお慕いする気持ちに嘘偽りは有りません 」
ファネさんが顔を上げてキッパリと宣言する
しかも・・・ あれれ 何か慕われてる? 聞き間違い?
でも、エメリさんもレマさんも何か真っ赤になって頷いていますよね 何かおかしくないですかぁ
「 ・・・ 分かりました そこまでおっしゃるのであれば 神託を証明してください。 仮にも大地教の大神官様がそこまでおっしゃるのであれば、証明さえいただければ喜んで側室にも迎えましょう 」
「 え 、 ちょっと セオ セオさんってば 」
何か本人を抜きにして話が進んでますけれど・・・
いや確かにね 美人さんですよ3人とも・・・ でも会ったばかりだしね もしもし
「 ありがとうございます 少々お時間をください 我々の祈りは必ず女神ディー様に届くはずですから 」
そう告げると、大神官ファネ様の両隣に神官のエメリさんとレマさんが並び、一心に祈りを捧げ始める。
微動だにせずにただひたすら一心に・・・
果たして豊穣の女神ディー様は祈りに応えるのでしょうか