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電子魔法

今日もありがとうございます。少しずつ話が動き始めております。


表面積についてのご指摘を頂き、一部表現を変更いたしました。

ありがとうございました。

「おつかれさまですぅ~」


仮想空間での魔法練習を終えて現実世界にに戻ってきた。

当然のことながら、エイシアさんは元のサイズになって近くで浮いている。

小さくても美少女に変わりはないけど、等身大の魅力は捨てがたいなどと考えていたら、エイシアさんが赤くなっている気がした。

また、読まれているのかな?


「こちらこそご面倒おかけしました。ずいぶん長いこと練習した気がするけど、今何時くらいですか?」


外はまだ明るいのだけど、練習に集中していたので一体どのくらいの時間仮想空間にいたのか全然判らない。仮想空間に入る前は、昼前くらいの時間だったと思うのだけど。


(ちなみに、この世界においても1日の長さや、1年の日数なんかは地球と同じです。

あくまでも、地球の平行世界とお考えください。)


「えーと、ですねぇ。まだお昼くらいですぅ、お日様もまだぁ高いです~。」


実際にまだ太陽は高い位置にあり、夕方にはまだだいぶ時間があるみたい。


「結構長い時間練習していた気がするけど? まさか丸一日過ぎているとか、そういうオチ?」


冷静に考えれば、そこまでお腹も空いてないし喉も乾いていないので、そんなに時間が経っているとは思えないのだけれど。


「仮想空間での練習はぁ ハチ時間くらいですよ~」


あっさりと、エイシアさんが凄いことを言ってきましたけど聞き間違いかな。


「えーと、1時間ですかぁ?」


「違いますぅ、ハチです8時間ですよぉ」


何かがおかしい、この世界では8時間経っても外は明るいの、それとも時間の考え方が違うのかな。まさか白夜?


「えーとですねぇ」僕がどうみても納得していないのを感じ取ったようで、エイシアさんが説明を始めてくれた。


「仮想空間の時間経過とぉ現実の時間経過は~ イコールでないのですぅ。」


「え、どういうことですか?」思わず聞き返すよね、その答えには。


「はいー、仮想空間で8時間過ごしてもですねぇ、現実では2時間程度なのですぅ」


どうやら便利システムが働いているようで、時間の流れが違うらしい。


「だからですか、まだ日も高いし、お腹もそんなに空いていないのは」


「その通りですぅ」


まぁ考えても仕方ないか


とりあえず実質2時間で魔法の基礎は使えるようになったらしいです。

ためしに、『点火』ってイメージしたら指先に火が灯りました。


魔法って色々すごいね。


「でゎ~ 電子魔法も試してみましょうか~」


基礎魔法が一通り使えるのをエイシアさんに検証してもらい、問題なかったので、仮想空間では使うことに成功した電子魔法も試すことになった。


「わかりました、先生」


小さな先生に元気よく返事をしたら、大きく頷いてくれたよ。


「まず、しっかりイメージすること。」自分に言い聞かせるようにつぶやく。


「失敗しても良いのでぇ~、緊張しすぎないようにぃ」


仮想空間での練習時も最初は緊張しすぎて、失敗してしまったのです。


エイシアさんのアドバイスに従って、肩の力を抜いてイメージに集中する。


「MAP!」これは練習時に一番上手に出来たと自負する魔法


「とても上手ですぅ」パチパチと手を叩きながら褒めてくれるエイシアさんと僕の間にスクリーンが現れている。


「出来た、成功したぁ」


そう、これが《MAP》という名の電子魔法。空間に地図を投影し、その地図上にリアルタイムで色々な情報を表示できる便利魔法。

まだ僕の熟練度が低いので、最大でも自分を中心に500m×500mまで程度の地図しか作れないけど、練習していけばもっと広範囲に出来るらしい。

ちなみに、操作はスマホやタブレットみたいな感じで直感的に操作可能。

画面(?)サイズが大きいので両手を使うけど、拡大縮小も出来るしイメージして表示させる内容も変えられる。


「でゎ、生命反応を適正表示させて欲しいのですぅ」


エイシアさんが表示内容の指示を出してきた。


「はい、先生」返事をしながら僕は、注意してイメージを組み上げる。

練習の時は仮想空間なので大丈夫だったのだけど、注意されたことがあったな。

あの時言われたのは・・・


『リックさん、このままぁ生命反応を表示させるとですねぇ、現実世界では表示が真っ白になって何も見えませんよ~』


結界の時もそうだったけれど、微生物や昆虫にだって命は有るわけで、目には見えなくても生き物はたくさんいる。だからただ単に生命反応を表示させたら、画面上の全てで反応が出てしまうことになり、結果として画面が見えなくなってしまうのだという。

まぁそれはそうだよなぁ。


なので反応する対象を、ある一定以上のサイズを持つ生命反応に限って輝点で表示するようにすればとりあえず解決。

今回は、表面積100c㎡以上の存在に設定。

(この場合の表面積は、あくまでも概略的に表面を捉えたモノであり表皮の凹凸や体毛を想定していない リック君のイメージとお考え下さい)


概略的なサイズのイメージとしては、ネズミやカブトムシ程度だろうか。

画面上の輝点の大きさも実物に比例して変化するので、反応しているのがネズミなのか、狼程度のサイズか、はたまた人間や熊程度の大きさなのかはある程度判別がつくようにイメージしてみた。


「とってもいい感じですぅ」


エイシアさんが褒めてくれた。

何もない空間に投影されているスクリーンには、上から見た建物や道が描かれ、所々に小さな輝点が存在する。

大きさから見て、建物近辺にいるのは野鼠の類かな。街道近くの草むらには兎かな。

あとは大きめの昆虫とか蛇とかトカゲだろうか。

まだ、反応数が多すぎて見にくいので、反応する大きさを変えてみよう。

今度は300c㎡以上をイメージして。


「うん、だいぶすっきりした」


「ウサギさんクラス以上のサイズですねぇ~」


エイシアさんが変化に気が付いてくれたようだ。


「このサイズだと、反応が少ないです。まぁゴーストタウンですから住人もいないですし、ネズミとかには反応しないようにしましたから」


「とても上手に使いこなせています~。これなら他の電子魔法も軽々制御できそうなの~。とっても楽しみなのですぅ」


ニコニコ顔のエイシアさんが嬉しいことを言ってくれた。


「いい先生が上手に教えてくれましたので・・・   あれ?」


エイシアさんに感謝を込めて話していたら、画面の端の方に輝点が現れた。


「大きい?サイズ的に人間くらいかな?」現れた輝点は画面の左上の角を横切るように移動して範囲外へ消えて行った。


「それなりに大きい感じですものねぇ」エイシアさんも一緒に画面を覗き込んでいると、僕らの目の前でさらに追いかけるような別の輝点が2つ現れて消えて行った。


「追われている?」画面上の輝点の動きに過ぎないけれど、何か気になる動きだった。


後から追っていたような輝点の方はサイズから、狼程度の大きさと予想される。


次の瞬間、僕は背嚢からクロスボウを取り出し部屋から飛び出した。


「ちょっと気になるから見てきます」


エイシアさんに一声だけ掛けて画面上で確認した方向へ走り出した。


「サイズ的には最初の輝点は人か熊の可能性が高い。間違っても熊が狼から逃げていることは無いだろうし、そう考えると人が狼に追われている可能性が高い」


僕は走りながら、癖になりつつある独り言を呟いて考えをまとめる。


「いやーーーー 」女の子の悲鳴が向かっている方向から聞こえた。


どうやら予想は当たってしまったようだけれど、叫び声を聞く限りまだ生きている。

一気に声のする方へ走りながら、一軒の廃屋の前を通り過ぎると100m位先に走っている人が見えた。後ろには予想通り狼が2頭。


「獣人だ 」狼から逃げ回っているのですごい脚力だと思ったら、頭から長い耳が生えている。兎族の女の子のようだ。


声をかけてこちらに誘導しようかとも考えたけれど、この状況ではさらなる混乱を招きかけないし、狼がこちらに気が付けば状況が混乱する可能性も捨てきれない。

恐らく2頭は若い狼なのだろう、大きな獲物を前にして襲いあぐねているのかもしれないが、こちらの存在に気が付けば無理を承知で兎族の女の子に襲いかかる可能性もある。


どうする?


ただ、兎族の女の子はひたすら逃げているので、僕も距離を中々詰められない。

狼は獲物の体力低下を待っているのだろうか、2頭で追い続けているが余裕がある動きだ。


兎族の女の子は速度が落ち始めているけれど、流石にこの距離で走りながらクロスボウを射ても、確実に狼に当てることは難しい上に、兎族の女の子に当てる可能性も有るので怖すぎる。何しろ的としては四つ足で体高の低い狼より、女の子の方が大きすぎる。


『リックさん、誘導を使ってください』


エイシアさんが心に話しかけてくると同時に、魔法のイメージが流れ込んできた。


『誘導魔法 起動準備完了しました』


エイシアさんの声とは違う中性的で冷静な声が頭の中に響いた。


『索敵完了、目標補足済み。』


よく分からないけれど、ボウガンを任意の方向に向けて放てばいけるらしい。


「イメージは固まった。 誘導!!」


とりあえず大声で叫びながら、ボウガンを狼に向けて放つ


通常であればこちらも走りながらの射撃で、相手も動いている。


良くて牽制、下手すればフレンドリーファイア(味方への誤射)になりかねない状況だけれども、電子魔法の支援があるので問題ない(と確信)


母親から贈られた、特製のボウガンから放たれた矢は狼から20mほど手前で大きく弧を描き、2頭を一直線に捉える位置とタイミングで一気に突き刺さる。


「「きゃいーーーーん」」 ほぼ同時に狼2頭の急所を一撃で貫いた矢は、更に10m以上先の大木に突き刺さった。


「良かったぁぁ」 とりあえずその場に座り込むぐらい安堵してしまった。


魔法が上手くいって女の子を傷つけることもなく、一撃で狼2頭を倒せる・・・。


「しかし、どう考えても魔法って反則だよな」


改めて魔法の凄まじい威力を見せつけられた気がした。

本日もお読みいただきありがとうございます。読んでいただけることが本当に嬉しいです。

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