鍛冶
こんばんは 本日の投稿です
デニエとメイドさん達の話はとっても興味があるけれど、色々混乱しているロイルさんも心配だし
そもそもの疑問に戻ろうか
「 ねぇ デニエ 」
「 なーに リック 」
蕩けそうな声で返事をしてくれるのは嬉しいけれどねぇ
「 偶然来たわけではないよね 」
「 まぁ そうね さすがにそこまで都合のいい偶然なんてないわよね 」
それは単なる必然だよ
「 僕が勝手に名付けた魔法超ステンレス鋼こと、この世界初お目見えの合金の件だよね きっと 」
当たり前と言えば当たり前なんだけど一応聞いてみる、金属に関わることは当然土精霊の管轄だものね
「 まぁ そうねぇ あぁ別に創りだしたことは良いのよ というか大歓迎!! もっとどんどんお願い 」
そういうと嬉しそうに頬ずりをしてくれる
デニエの満面の笑みを見る限り、問題はないのだろう
「 え、 あぁ いいんだ 」
「 もちろんよぉ 期待してるからね 魔素も固定できるし大歓迎よぉ 」
どうやらお墨付きがいただけたようだ。
「 じゃあ 何が問題? まさか褒めてくれるために来たの? 」
「 もちろんリックの功績に感謝するのが最大の目的よぉ あと、おまけでそこの鍛冶師君の問題解決かしらねぇ 」
デニエはロイルさんに視線を向けてそう言った
「 は、 はいっ !! よよよろいく お願いもうしあげるでありまする 」
デニエの注意が自分に向けられたことを知って、慌てて立ち上がって返事をするロイルさん
もうねぇ 緊張して言葉が変です・・・
「 問題解決? なんかロイルさんに問題あるの 」
僕は素朴な疑問をデニエにぶつける
そもそも魔法鍛冶が出来ないのは先天的な問題だし、そのために新しい魔法金属を作り出したのだけれど
まだ問題があるのかな?
「 そうですね彼の鍛冶師としての技術は問題ありません、父親を師と仰ぎしっかり精進してきたようですし 」
おお、そんなことまでわかるのかぁ
「 流石は土精霊次席だねぇ 」
「 えぇ 彼の守護精霊から先ほど聞きました 」
あ、 そういうことね
まぁそうだよね、全ての加護持ちのこと把握してたらもはや神様だ
「 じゃあ何が問題なの 」
「 はい、その彼の技量を以てしても 今回リックの創り上げた魔法超ステンレス鋼・・・ 長いですね・・・ この名前 」
「 うん、だから超魔鋼って略そうかと 」
やっぱり長すぎるよね、あの名前は
「 はい、ではその超魔鋼ですが 現在この世界に居る度の鍛冶師でも完璧に鍛えることは不可能です 」
「 え・・・ ど どぉいうこと ??? 」
デニエの言葉に、思わず固まってしまいました。
せっかく創り上げたのにぃ・・・ 無駄ってこと? そんなぁ
「 リックの魔力を惜しみなく使って創られているため、その鋳塊を鍛えるのには最低限専用の魔道具が必要です 」
「 専用・・・ しかも最低限 」
あちゃーーー 良かれと思ってしたことが裏目に出たかぁ
「 じゃあ もっと手を抜いて創った方が良かったってこと? 」
「 いえ、それでは意味がありませんし 魔法はそこまで都合の良い物でもありません 」
「 じゃあ・・・ 」
少々落ち込んだ僕にデニエが慰めるように抱き着いてくる。
「 ですから私が登場したのですよぉ 」
「 それって 」
キスできるくらいの間近でデニエが語ってくれたのはこんなこと
僕の創りだした超魔鋼を鍛える最低条件である魔道具とは、まず金床や槌。
超魔鋼に負けることなく鍛え上げるためには、それ相応の物が必要で現在ランドヴェールに存在する物では無理らしい。
そのために専用の金床と槌はデニエが用意してくれた。
さらにはこれも専用になる炉の改良
現状の炉ではその魔力と温度に耐えることは出来ないので、デニエの精霊魔法により炉自体を強化して
特殊効果を付与したコークスを使うことにより、魔工炉と化すのだそうな。
そしてとどめが、彼の守護精霊の強化だそうな。
今の彼の守護精霊はとても良い子なのだそうだけど、精霊としての位階が低いらしい。
本来なら十分に位階を上げられるだけの経験を積んでいる精霊らしいのだけれどロイルさんがハーフドワーフであり、魔法鍛冶が出来ないこと
そして精霊自身が真名を持っていないことが位階を上げるに至っていない理由らしい。
この辺は色々精霊界にも複雑な事情があるらしく、詳しい話は教えてもらえなかったけれど
ぶっちゃけて言うと運と廻り合せが悪かったのだって。
だからこの機会に本来あるべき位階に上昇させて、さらに真名を与える。
そして超魔鋼を鍛えるという大仕事をロイルさんと共に成し遂げさせ、この新しい合金による道具を世に送り出す。
これがデニエが現れた理由なんだって。
まぁデニエ曰く、僕に逢えるのが主目的でこっちはあくまでも従の目的なんだって。
一気に説明してくれた後で、褒めて褒めてと言わんばかりにすり寄ってきたから、撫でてあげたらすごく喜んでいたから本当にそうなのかもね。
まぁいいか。
ONとOFFがはっきりしている女性っていますよね。仕事モードと甘えモードのギャップに萌えます。