メイドの矜持
こんばんは 本日のお話です。 クラシカルなメイドさんが好きです。
「 ミーネはとにかく落ち着いて 」
「 私は冷静です!! 冷静だからこそ そこの馬鹿狐とその大馬鹿主人を排除するのです 」
いや・・・ 全然冷静じゃないですよね だってさぁ酔っ払いって大概の場合、自分は酔ってないって真っ赤な顔で否定するけど傍か見たらさぁ貴方完全に酔ってますよねって状態。
今自分が冷静だと言い張るミーネさんも同じだよ。
「 あらあら、小さいのに元気がいい方ねぇ はじめまして、私デニエと言いまして土精霊の次席をしております 」
「 ぐぎぎぎぎぎぎ あんたぁ知ってて言ってるでしょ 」
まだレイルさんの魔法障壁で体は動かせないようで、ものすごい勢いで文句を言うミーネ。
普段の穏やかさは完全に姿を消しているよ。
しかし凄い魔法量だよね、ミーネは小さいけれど僕の魔力を使うこともできるのに、そのミーネを動けなくしているレイルさんの魔法。
見た目は狐族だけどもしかして違うのかな?
獣人って基本的に魔法は使えないはずだよね。
「 獣人の魔法使いについて疑問をお持ちのようですね 」
いつの間にか僕のすぐ斜め後ろには羊族メイドのフェリリさんがいました。
「 うぁわ 」
思わずびっくりして声を上げてしまった。
全く気配も感じなかったし、さっきまでロイルさんに説明してたはず・・・
しかも僕の疑問をなんで分かっているのだろう
「 はい、 それもメイドのたしなみでございますわ 」
「 はぁ 左様ですか・・・ 」
「 はい 」
満面の笑みで答えるフェリリさん
やっぱりメイドは最強の職業なのだろうか
「 フェリリさんも魔法は使えるのですか 」
「 もちろんです それもメイドのたしなみですから 」
えーと 答えになっていないような気がしますが、突っ込んだら負けなのでしょうか。
「 メイドさんって凄いのですね 」
「 正確に言えば デニエ様付のメイドである我々が凄いのですよ 」
修正いただいたお言葉には魔力が乗っているようで、とても迫力がありますね いわゆる威圧というやつでしょうか・・・
ちなみにその後のフェリリさんの説明によると
デニエ付のメイドはフェリリさんレイルさんを筆頭に全部で12人いるそうで、全員が獣人とのこと。
もちろん全員が魔法を使えるそうで、それを可能にしているのがデニエによる加護と努力の賜物だそうな・・・
元々メイドの皆さんは時期の違いはあるけれど、全員戦災孤児でデニエが引き取った子供だという。
なんでもデニエは世界各地で孤児院を運営しており、孤児に生活と学びの場を提供し自立支援を長年に渡りしてきたらしい。
もちろん高位精霊だから出来ることで、トォーニ様の意向も酌んでの事らしい。
で、12人のメイドさん達だけれども
優秀な子などでは無くて、そもそも加護も無く先天的な身体不自由や病変を持つ子供だったらしい。
孤児であるだけならば、環境を整えてあげれば自立も出来る。
中には才能を伸ばして大商人になった子も、立派な将軍になった子いるらしい。
だけど本人の努力ではどうにもならないこともある
でも諦めない心を持った元子供達がフェリリさん達12人のメイドだ。
その努力に神様とデニエが報いて加護や魔力、そして健康を手に入れることが出来た
そしてそれに甘えることなく精進して最高レベルのメイドとなったいまでも努力を惜しんでいないらしい。
なんか凄すぎて言葉にならないよ
「 リック~ 」
そんな凄いメイドさん達のご主人は僕の膝の上でご満悦ですけど・・・ いいのだろうか?
「 はい、 我が主がここまで心を許している姿を見れる日が来るとは思っておりませんでした 」
「 え ? そうなの? 」
「 デニエ様は謹厳実直な精霊であり 長年に渡って高位精霊として、また土精霊次席としてその重責をになってまいりました。 本来の性格は甘えたがりで、天然なところもあるのですが地位がそれを許さず、またご自身の性格もあって本質を表に出すことは有りませんでした 」
立場が人を作るというけれど、デニエの場合はそこもまじめ過ぎたのだろうねきっと。
「 でも、なんで僕なんだろう 」
「 それはですね・・・ 」
フェリリさんが答えかけたその時
「 だーめよぉ フェリリ そこまでよ ネタばらしは禁止よ 」
どうやら秘密という事らしい、デニエがフェリリさんの話をさえぎってきた。
「 差し出がましい真似をして申し訳ございません 」
「 いーのよぉ フェリリはいつも私の事を考えてくれているものね 」
微笑みながらデニエが言う
高位精霊とメイドさん、主従関係だけではない信頼と愛情が感じられる関係なんだろうねきっと
デニエと12人のメイドさん達は。
僕は目の前でニコニコとしている、高位精霊さんを見つめながらそう思った。
メイドさんと獣耳って合いますよね。僕は大好きです。