〈創生〉という魔法
今日の投稿になります
すでに鉄は用意された、その他の必要素材は土精霊が出してくれた。
そう、ロイルさんの守護精霊さんだ。見た目はエイシアさん達とほぼ同じサイズの精霊。
ただしとてもおとなしそうな精霊さんだ。
まぁエイシアさんがイレギュラーな存在らしく、普通は人前に現れるようなことは無いのだという。
まして喧嘩するとかねぇ・・・
比較する対象が問題あり過ぎなのかもしえないけれど・・・
もちろんエイシアさんをはじめとして、高位精霊は別格な存在なのだろう。
デニエさんしかり、レイアさんもそうだねぇ・・・
「 ありがとう 助かったよ 」
ロイルさんの守護精霊が最後の素材を出したと告げてきた。
『 どういたしまして お役に立てて嬉しいです 』
そういうとロイルさんの側へ行く精霊さん。
残念ながら彼の目にはその姿は映っていないので、机に上に突然素材が現れる様しか見ていない。
守護精霊を見る機会は普通の人であれば一生に一度、加護を貰う時だけらしい。
気まぐれに現れてましてや肩の上に座るうちの守護精霊様って特殊なんだねぇ。
もちろんロイルさんには彼の守護精霊の力を借りていることは伝えてある。
守護精霊の話を聞いて誇らしげな彼の表情と、それを見て嬉しげに微笑む守護精霊さん
なんか良いよね。
「 さぁ 材料はすべてそろった 」
僕の言葉に唸り声で返事をしたわけではないのだろうけれど
「 うーーーん 」
ロイルさんは感嘆というか、色々と驚きすぎて言葉が出てこないようだ。
まぁそうだよね、そうなってしまうよね。
と、いうもののロイルさんが納得するまで説明しているほど暇でもないので
「 ミーネ 〈創生〉の準備は出来たよ 」
僕はテーブルの上の各種素材を前にしてミーネに声を掛ける。
「 では はじめましょう旦那様 」
「 うん よろしく ミーネ 」
「 はい 」
嬉しそうに返事をしたミーネが例によって僕の肩の上に乗ってくる
「 素材はこのままでいいの? 」
「 ええ そのままで問題ありません 」
机の上に並べられた素材達、本来なら素材ごとの比率等が定められているのだろうけれどそこは魔法ですよ。
分析で導き出されたそれぞれの素材の量が創生時に必要量が消費されて残りはエネルギーに転換されてしまうらしい。
うーん相変わらず魔法って凄いよねっていう感想しか出てこない。
「 さて、始めようか 」
「 では旦那様 トレースしてください 」
ミーネが素材に魔力を流し始める
〈分析〉で読み取ったあるべき姿
ステンレス鋼と異世界で呼ばれる合金
美しく錆びにくいその姿
鉄の音が響く、素材たちの音が響きあう。
理を超えて、魔法が繋ぐ素材たちの新たな姿
新たな姿を現しなさい この世に生まれしその名は 超魔鋼 想念せよ〈創生〉 !!
僕の声なのか、ミーネの声なのか
素材たちが眩しい光に包まれたかと思うと
理を超える魔法が作用する声が聞こえた
「 どうやら成功のようですね 」
〈分析〉程には魔力を持っていかれた感じはしなかったけれど、繊細さとコントロールに気を使う魔法だと感覚がある。
魔法行使後の気疲れ感はすごく強いね。
「 まぁ正直よく分からないけど・・・ 」
僕の目の前には光沢を持った鋳塊が一つだけ
まぁ少なくとも何かしらの合成には成功したのは間違いないだろう。
「 ロイルさん この鋳塊を確認していただけますか 」
ミーネは目の前で起こったことに着いていけずにまだぼんやりしているロイルさんに声を掛けている。
「 ・・・ あ、 は、はい 」
促されて目の前に現れた金属の塊に手をかざすロイルさん
ドワーフ族特有の土魔法に鉱物や金属の鑑定を行う魔法がある、この魔法の前では偽造は通用しない。
熟練度の高いドワーフであれば合金の組成や、鉱石の状態でも成分比まで感じることが出来るらしい。
さて、ロイルさんの熟練度はどの程度かな・・・
『 彼は〈金属鑑定〉に関しては相当な熟練度のようです 』
ミーネが集中しているロイルさんの邪魔にならない様に念話で話しかけてきた
『 そうなの? 』
『 はい、先ほど彼の守護精霊から聞いたのですが 彼の母親は人族ですが、土魔法の使い手でもあったようで、ロイルさんの魔力量は中々の物です。 残念ながら魔法鍛冶は無理ですが〈金属鑑定〉は、現時点でも間違いなく名人級です 』
どうやらロイルさんは、凄い人だったらしい。
でもその凄い人が随分と時間をかけて集中しているようだなぁ まぁ〈金属鑑定〉って言う魔法自体見るのも初めてなのである程度時間がかかる魔法なおかも知れないけれどねぇ。
『 随分集中しているよね、なんか汗もかいてきているよ 』
『 本来ここまで時間がかかるものではないのですが・・・ まぁ初めての素材ですし 真面目な方のようですから 』
その後
ロイルさんが鑑定を終えるまでに20分くらいの時間が必要だったよ
お疲れ様・・・
お読みいただきまして本当にありがとうございます