何か御用?
こんばんは 本日のお話になります
クレイファ共和国かナール王国か、それとも大陸南部まで旅をするべきか。
「 うーーん 悩ましいねぇ 」
気分転換の為に街に出て、広場のベンチで休憩中。
屋台で買ったお茶と小さい林檎のような果物を食べながら考え事。
「 個人的にはクレイファ共和国をお勧めします 」
肩の上に居るミーネが声を掛けてくる。
「 どうして? 」
「 はい、商売を始めるのに向いているからです。特に港湾都市であるルーブレなどは貿易商人が集う街ですし、異世界の産品を売るにはもってこいかと思われます 」
「 なるほどね 」
確かに生きてゆくためには仕事は欠かせないし、商売をするのに相手は必要だ、その選択肢がクレイファ共和国には多そうだ。
「 例えばルーブレで家を借りて、そこを拠点に活動するのはいかがでしょうか 」
「 うん、悪くない考えだよね 」
市場調査しながら何が売れるか検討して、取引相手を見つけるのも手だな。
最初は小さい商いから始めればいいし。
「 私はですねぇ 南部への移動を勧めるのですぅ 」
いつの間にか反対側の肩にはエイシアさんが腰かけていた。
「 いつの間にか 現れたね。 でもなんで南部なの? 」
話に割り込まれたミーネが睨んでいるのも意に介さずに、エイシアさんは話を続ける。
「 それわぁ エルフ女王国やホレイ王国で安心した生活を送ってほしいからですぅ 」
「 安心? 」
「 は~い 大陸南部は政情も安定し紛争とも無縁ですし、獣人が穏やかに暮らせるのですぅ。 そんな環境でお嫁さん達に沢山赤ちゃんを産んでもらってぇ 電子魔法を広めるのです そうすれば自然と穏やかで豊かな生活が出来るのです 」
まぁエイシアさんの目指すところはそこだよね、産めよ増やせよ地に満てよってか。
「 穏やかな生活はともかくとして、豊かになるためには仕事しないとだめでしょ? 」
「 ちっちっち なのですぅ 」
エイシアさんが目の前で指を振っている。
「 違うの? 」
「 電子魔法を普及させることによって、神様からご褒美がもらえますぅ。 それにぃホレイ王国のドワーフと組んで電子魔法で新しい魔道具を開発すればぁ 豊かな生活がおくれるのですぅ 」
ご褒美って・・・そんなシステムなの? 加護1人与えるごとに幾らみたいな感じ? まぁ神様からの贈り物とかで当面の生活費に困っていないのも確かだしねぇ。
それと、魔道具かぁ。
確かに電子魔法と金属の相性は実証済みだし、ドワーフに新しい魔法金属や技術提供をできれば豊かになれそうではあるなぁ。
「 なるほどねぇ エイシアさん 凄いね 」
「 当然なのですぅ もっと褒めるのです~ 」
ものすごい得意げな顔でミーネの方を向いているよ。そして悔しそうな表情のミーネ・・・。
もう少し仲良くしてほしいなぁ・・・。
でも、みんな色々考えてくれて本当にありがたいなぁ
嬉しかったのでそのままエイシアさんとミーネを肩に乗せたままいたら突然声を掛けられた。
「 あのぉ 突然すみません 」
目の前に現れて声を掛けてきたのは・・・
「 はい・・・ 」
背はあまり高くない 恐らく160cm無いだろう。浅黒い肌が7分袖から見えている、しかし寒くないのだろうか。
そして身長のわりに太い腕に、立派な横幅
「 すいません いきなり怪しいですよね、 でも別に悪い人ではないです ほんとすみません 」
なんかやたらに謝られてるけれど、この人って
『『 ドワーフです 』 ぅ 』
エイシアさんとミーネが同時に念話で教えてくれた。
「 えーと 何かご用ですか? あー 旅人なので道案内とかは出来ませんし アイテムや消耗品は欲していません 」
とりあえず予防線は張っておこうねぇ。
「 いえ、すみませんです。 何かを売りつけるとかそんな気はないのです 」
ドワーフの年齢は良く分らないけれど、髭も薄いし顔も幼さが残っている気がする。まだ若いのだろうなぁ きっと。
「 はぁ 」
観察しながらとりあえず消極的な返事をしておく。
「 あ、あのですねぇ 誠に申し訳ないのですが・・・ 先ほどのお話を小耳の挟んでしまいまして ・・・ 本当にすみません 」
一体さっきから何回謝られたことだろうか、口癖なんだろうね。
「 さっきの話というと・・・ 」
「はい、そちらの妖精さんの話です 」
ドワーフさんの指さす先にはエイシアさんのお姿が・・・
あー それはねぇ NGワードですよぉ
「 あのぉですねぇ わ・た・し のどこが妖精ですかーーーーーーーーーーーーーーーー なんて失礼な!! 」
エイシアさんが真っ赤になってお怒りです、良く見たらこめかみに血管浮いてるし・・・
およみいただき誠にありがとうございます