特訓の成果
「はい、集中して」
「ん、んー…………」
サティの社、その中庭で未だに特訓をするカメリアとツバキの2人。カメリアは自分の手にある「ローズブルームーン」を前に向け、集中していた。回復魔法の取得のため、杖召喚時同様に全神経を杖先に向けていた。杖の先には緑色の光が溜まっていた。
「まだ。まだ溜めて……今!」
光が一瞬強くなった時、ツバキの掛け声と共にカメリアは杖を上に向けた。すると、杖の先から緑色の光で出来た輪が現れ、周囲を覆った。その中にいた2人の身体が光り始めた。光は一定時間経つと消えていった。約50回目の挑戦で、ようやく回復魔法を成功出来た証拠だ。
「やっと回復魔法ができたね、これで教えることは全部。あと、もし相手が剣とかで攻撃して来たら、その杖で防御してもいいし、瞬間移動魔法を使って避けるのも一つの手よ」
「あー……疲れたぁ……」
「じゃあ、実戦しよっか。相手は私が…………って言いたいところだけど、やりたいって子がいるから私はパスかな」
「ツバキ?どこ見てるの?」
ツバキはカメリアの頭上……後ろの屋根を見てそう言った。カメリアが振り向いてる屋根を見ると、そこには浴衣……なのか、着物なのか、よく分からない服装をしていたメロウが立っていた。
「め、メロウ!?」
「やっと終わったみたいね」
「やー、メロウって元から力を持ってたのになんであの時兵士と戦わなかったのか不思議なのよねぇ」
メロウの背後から別の声が聞こえた。見るとツバキの妹、サザンカが座っていた。
「ということでカメリア。実戦するけど、本気でやっていいから。怪我したら私が治すし」
「ツバキ……うん、わかった!」
「カメリア、手加減しないから……」
「うん……メロウもね。光と共に輝け!ローズブルームーン!」
カメリアの手が光り、カメリアの杖、「ローズブルームーン」が召喚された。
「杖、ね……お願い……雪姫の刀!」
メロウは胸元に手を当て、水色の刀、「雪姫の刀」を引き抜いた。
「か、刀……でも、やるしかない!」
「いくよ……!」
メロウはカメリアに向かって走り始めた。
「……!」
カメリアは暗黒魔法「ダークカーテン」を使用し、視界を暗くした。
「(流石のメロウも止まらないといけないはず……)」
そう思っていたカメリア……しかし、暗闇から青い光が出現した。その光は上にいったかと思ったらまた下に降りてきた。その時、何かが凍る音が聞こえた。カメリアは注意しながら後ろに下がろうとして……足が動かないことに気づいた。
「(え……!?)」
暗闇が晴れてメロウを見ると、メロウは刀を地面に刺していて、そこから氷が出てきていた。
「カメリア、この状況どうする?」
「っ……!」
炎魔法でも逃げれないと思ったカメリアは杖を横に振り、瞬間移動魔法を発動した。
メロウの後ろに回り込み、炎魔法「フレイムフラワー」を発動。メロウに四方八方から火球が襲いかかる。メロウはその時、驚きの動きを見せる。
────飛んでくる火球を全て刀で切っていくのだ。
「な、なんで!?」
「早めに終わりそうね……雪月花!」
直後、メロウの周りには吹雪が吹き始めた。
「うわっ……!」
何とかしてメロウの方を見るが……いなくなっていた。
「「「消えた!?」」」
ツバキ、サザンカも驚いて声をあげる。
カメリアは周りに注意して、魔法をだす準備をする。
「(落ち着けば……勝てる!)」
「いくら構えていても、上ががら空きなのに……」
メロウは吹雪が吹き荒れている間に上空に飛んでいた。
「応えて……雪永刀!!」
メロウは雪姫の刀をしまい、それよりも刀身が長い「雪永刀」を呼び出した。
「この勝負、私の勝ちね」
落下中にそんなことを呟いたメロウ。しかし、次の瞬間、ありえない光景を目の当たりにする。
カメリアは自分に向けて、フレイムフラワーを放った。カメリアは燃えることなく、炎を纏った。
そして、回復魔法の前に教えて貰っていた速度魔法をジャンプと同時に使って、上空のメロウ目掛けてキックを決めようとしていた。
「はぁ!?」
流石のメロウもこれには驚き。対抗しようと、雪永刀に氷を纏わせた。
「いっけぇぇぇぇぇ!!!」
「はあああああ!!!」
2人がぶつかり、辺りに閃光が走った。
ツバキとサザンカには、何が起こったのか分からなかった。光が消え、見ると、2人が倒れていた。
「これは……引き分けかな……?」
「姉様……これ、治療面倒臭いんじゃ……」
ツバキはこの後の辛さを思うと、顔を青ざめた。
2話連続投稿で疲れたのねw
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