絶炎の九尾ツバキ
前回を見ていない人は見るのをおすすめします。
……わからない……この少女が何者なのか……。狐の少女は眠そうに3人の前を歩いていた。
「あの……」
リリィが小さい声で少女に話しかけた。
「ん?まだ名前も聞いてないって言いたいの?」
「え、ええ……」
「ふむ……心を読んでるのに驚かないのは前に誰かとあったのかい?」
「……ここに来る途中の小屋でうさちゃんって子に」
「何や、うさちゃんに会ったんか。あの子、何もしなかったかい?」
「ええ、サティの事について教えて貰ったくらいで」
「んー、ならええで。お、見えてきたぞ」
目の前を見ると、黄色い光で照らされたサティの街が見えた。
「私の知ってるサティとは全然違う……」
「ほー、メロウ・ディルートゆうたっけ?昔のサティ知ってんのかいな」
「ええ、まぁ……」
「昔のサティ……?それってどういう……」
「まぁ、話は後や。取り敢えず我の住処に案内するわ」
「いいんですか!?」
「ええよ。ただ、ここから歩くのは面倒くさいやろ?」
「私……義足だし……」
「せやろ?やから……飛ぶで」
「「「は?」」」
「ほら、捕まってなー」
全員が少女の浴衣の裾を掴むのを待ち、少女は尻尾を揺らし始めた
「ちと漏らすかもしれぬが、我慢してくれや」
そう言った途端、4人の回りに風か吹き始めた。
吹いていた風は一点に集中し始め、少女の足元に移動した。
「行くよ!」
瞬間、だん!と足元から音がした。
「ひあああ!!」
「きゃあああ!!」
「っ……!!」
叫ぶリザルナ姉妹、冷静を装うがやはり驚いているメロウ。下を見ると沢山の獣族が道を歩いていた。
すると回りに吹いていた風が弱まり始めた。
「ついたでー」
その言葉を聞いた3人はようやくほっと一息つくことができた。
「これ無理……」
「まぁ慣れさ慣れ。そんなことより……」
少女は数歩前に出てこちらを向いた。
「ようこそ、和の街サティ、その最奥部にある"狐の社"へ!」
「や、社って……」
「デカすぎるよ……」
広さは大豪邸5棟くらいだろうか。こんな所で住んでるのか。
「ん?住処……社……まさかあなた……」
「あー、紹介してなかったねぇ。私は獣族の最強クラスってみんなに言われてるツバキよ。周囲は私を"絶炎の九尾"って呼んでるかなぁ、あと3人があったうさちゃんは私の右手ね"情報集めのうさちゃん"とも呼ばれるんさ」
「獣族最強の少女……ツバキ……」
「なんかすごい人と出会っちゃったね……」
「でも……見た目は普通なのにどこにそんな力が……」
「んで、どうする?食事は用意するけど、お風呂入るか?」
「え、いいんですか?」
「うむ、問題ないぞ……その前に、リザルナ姉妹よ」
「どうしたの?」
「詳しい事は後からうさちゃんから聞くからいいが……右腕と左足……もし治せるなら治したいか?」
「もちろん!義足じゃこの先不便だもん!」
「わ、私もです!左手で箸とか掴むの大変そうだし……」
「ふむ……なら、2人は風呂はあとでかな。メロウ、そこを右に曲がれば風呂場があるからすまないが1人で入ってくれぬか?」
「ええ、分かったわ」
「じゃあ2人とも、こっちゃこい」
「でもツバキ、治せるの?」
「うむ、私の術なり魔法なり使えば治せるぞ。ただ治す最中は身体中ビリビリするから、覚悟してもらうよ?」
「わ、わかった」
「わかりました」
「じゃあ、始めるぞ。まずカメリアの左足からじゃな。まず血を一滴貰うぞ」
そういってツバキは爪でカメリアの腕に小さい傷をつけ、傷口から血を出させる。
「舐めるが、問題ないかい?」
「うん」
そういうとツバキは血を舐めた。
そこからカメリアの足の長さ、筋肉、太ももなどの読み取る。
「うむ、大体のデータは取った。後は回復魔法を使って再生じゃな」
「い、今ので分かるんだ……」
「私の場合は相手の血を舐めることで身体のデータを読み取るんじゃ。ほな、始めるで」
そういってツバキは、カメリアの足の切断面に手をかざし、何かを唱え始めた。数分唱え続けていると、手をかざした場所が光始めた。それと同時に身体が痺れ始めた。光は徐々に大きくなりそれに合わせて身体が痺れる。最後には部屋全体が光で真っ白になった。
「終了じゃ。お疲れさん」
「ん……あ、あ……足が治ってる……!」
「すごい……ほんとに治ってる……!!」
「ほら、次はリリィじゃ。はよせんかい」
その頃大浴場――
身体を洗い終わったメロウは広い湯船に1人浸かっていた。
「はぁぁぁぁ……生き返るぅ……」
メロウは風呂場出入口に置かれていたレモンジュースを湯船で開けて飲み始めた。
「うぅぅぅ……なんか……すごいいいな……ここ……」
独り言を言っていると、誰かが入ってきた。
「うぅ……頭痛いぃ……ってあれ?……あなた……姉様が連れてきた人間?」
「姉様……?それって、ツバキのこと……?」
見るとその少女は狐の耳を生やしていたが、ツバキとは違い、尻尾が1本しかなかった。
「うん」
「……正確には助けてもらった……のかな?」
「助けてもらった?」
「うん。リーサを破壊した兵士の1人がサティの道中にいて……逃げようとしたらもう一人いてね……もうだめかと思ったのだけど、そこでツバキが来てくれたのよ」
「ほー、姉様流石だぁ。あなた、名前は?」
「私はメロウ・ディルート」
「メロウね。私はツバキの妹のサザンカ。よろしく」
「あー気持ちよかった……」
「この時間が至福のひとときだよ。あ、あとお酒飲むのも」
「お酒飲めるのね……」
「うん、美味しいし」
「あ、メロウ」
「カメリアにリリィ……腕と足、治ったのね」
「はい!ツバキさんのおかげですよ!……あと、そちらの方は……」
「あぁ、この娘はツバキの妹のサザンカ」
「よろしくぅお二人さん」
「よろしくね」
「こ、こちらこそ!」
「ふぅ……お腹いっぱい……」
お風呂に入った後、3人はツバキが用意してくれた食事を食べた。メロウがサザンカとお酒を飲み始めるから、リリィがメロウを止めに行こうとしたが、リリィも飲んでしまい、3人とも酔い潰れてしまった。
「やからサザンカにはあまり飲ませたくないのさ……」
「あはは……そういえばツバキ、なんで話し方がバラバラなの?」
「ん?あー…… 気分やな」
「一つに固定してみる気はない?」
「ん?聞き取りにくかったかい?そりゃ済まないね。………………こんなのでいいかな?」
「うん、それが一番よ」
「そう……で、カメリア、この先どうするの?」
「え、どうって……?」
「やることあるの?うさちゃんから聞いたけど、両親が行方不明なんでしょ?」
「え、ええ……」
「取り返そうと思わないの?」
「と、取り返す?」
「生きてる可能性があるなら、絶対に捕まっているはずよ。もし生きてたら会いたいでしょ?」
「そりゃ……もちろんよ」
「……なら、決まりかな」
「何が……?」
「明日から、あの兵士達と対等に戦えるように特訓するよ」
「と、特訓!?」
「うん」
「…………分かったよ。明日からもまたよろしく、ツバキ」
「お易い御用よ、カメリア」
同時刻、破壊されたブレシン内
「ここにもいませんでした!」
「そうか……カメリア・リザルナ……早く殺してやる……!」
燃えているブレシンで1人の男は呟くように言った
1日に1回投稿してる気がしますwww
なんかネタがなくなるうちに書こうと思うと出来ちゃうっていうのがwww
今回で2人の傷が修復されましたね……ツバキちゃん強いw
妹のサザンカはのんびりしてそうだけど、実は強かったりして……?
次回、特訓が始まりますが、ツバキは何をカメリアに要求するのか……次回をお楽しみください♪