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絶滅都市 東京  作者: 坂崎文明


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人柱

「ママ、あたし………」


 電池が切れるように、ユキの声がとぎれて動かなくなった。 


「あらら、寿命かな?」


 ボディを軽く叩いてみたが回復しない。

 彼女は長い口笛のようなため息を吐いた。


 支援型アンドロイドマーク30(サーティー)にユキの魂を移してちょうど5年目だった。

 彼女も全身をすでに義体化済みなので、似たようなものだが。


 2016年に平将門(たいらのまさかど)の結界を利用した障壁の中に東京都民が閉じ込められて、23年の歳月が流れた。

 つまり、今年は2039年である。


 私たちはこの東京という都市に閉じ込められて人柱にされたらしいという、まことしやかな都市伝説があった。

 どうやらそれは本当だったらしい。


 脱出を試みた人々の話では境界線には迷宮が広がり、いつのまにか元の場所に戻ってしまうという。

 結界によって方向感覚が狂わされるためではないかと言われている。


 結界内部では食料も他の物資も一晩寝たら回復していて、まるでマヨイガか、竜宮城にでも迷い込んだような不思議な生活が続いていた。

 ある意味、ユートピアのような生活だった。


 だが、そんな幸運に代償がないはずはなく、今日、その報いが支払われると予言されていた。


「―――ママ、今日が約束の日よ。予言が成就される祝福の日が来たわ」


 ユキは唐突にしゃべりはじめた。

 東京中央政府からのアナウンスみたいなものだな。


 東京都民約1000万の命が天に還る日が来た。

 

 


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