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94 巨人と獣人

 獣人対巨人、そう銘打った見せ物が始まった。

「赤コーナー、地獄の料理番長ぉーー、獣人ウォルフガングぅうう!」

 そう言って舞台に入ってきたのは人狼の青年だ。筋骨たくましく豊かな体毛を蓄え耳までさける口は獰猛に笑っていた。

「青コーナー、歯向かう奴はなんであろうこの手でミンチにしてやる! 巨人バドラーッッッ!!」

 天をつくという表現や小山という言葉がぴったり合う巨人の顔に笑みはない。ただただ、倒すべき相手を見つめて自分の仕事をするべきだと職人のように思っているのが顔からにじみ出ている。

「おぉっと、両者にらみ合いだ」

「どちらも、全力を出してもらいたいですね」

「実況は私ターナーと」

「解説はヒムがお送りします」

「ヒムさん、この対決どう思われます」

「そうですね、両者とても優れた選手です」

「というと?」

「ウォルフガング選手は獣人ならではの素早く的確な俊敏さを持ち、バドラー選手を圧倒している、といえるでしょう」

「おおっと、では勝利はウォルフガング選手が?」

「ですが、見ての通りバドラー選手の持ち味はどんなものでもミンチにしてしまえる筋力です」

「成程、おおっと互いに睨み合っております。ウォルフガング選手がチャンピオンでありながら、挑戦者に挑発しております。お前に俺が倒せるか、超えられるか? そんな声が聞こえてくるようではありませんか」

「こんな面を見せますが、ウォルフガング選手はラフなプレイはしないことで有名ですね」

「バドラー選手はそんな挑発にも揺らぎはしなぃい! さぁ、試合の開幕です!!」

 そして、料理対決が始まった。

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