91 ギャンブルとドキドキ
パチンコやパチスロは賭博という観点で見れば間違いなく違法である。そこに換金所という言い訳を用意して、法的にはグレーゾーンに立っている。
どこからが違法でどこまでが合法か、その正しさの価値観がいつ変わるかわからないが、何時の世にも違法と知りながら踏み込む無法者は確実にいる。
とある廃ビル、その地下。
幽鬼のごとく湧きだした人々は仮面をつけて賭け事に興じていた。
負けたものは魂まで蹂躙され、勝ったものはそのショーを美酒とともに見る。
そんな中、一つ異様な場があった。
ポーカーの台だ。うずたかく積まれたチップ。降りるに降りれないように手に汗を握ってる肥満体のプレイヤー、積まれたチップが全て手に入ることを楽しみにしている仮面の美女、そしてカードを配るディーラーに無表情のシンプルな仮面をつけたプレイヤー。
場はある一点を見ている。
視線を注がれているのは無表情のプレイヤーだ。
「レイズ」
そして、チップが積まれる。
その言葉に肥満体のプレイヤーは泣く泣く告げる。
「……フォールド」
降りたのだ、ここまで来ていながら、ここまで積み上げながら負けるしかなかったというのは屈辱以外の何物でもない。
そして、美女と無表情の一騎打ちとなった。
「ねぇ、お話をしませんこと?」
「いいぜ」
「貴方はそこまでカードに自信がお有りなのですか」
「そうだな、この手札で負けることはないだろう」
まぁ、美女は笑う。
「大した自信ですこと」
「レイズしてやってもいいぜ? どうするミス?」
せっかくですが、美女は腕に巻かれた時計を見る。
「――時間のようですわ、ミスター」
声とともに悲鳴が上がる。
そして、怒号。
「全員、動くな! 警察だ!」
手を上げカジノの場にいた客と店員は動かず立ち止まってしまった。
そして、美女の前に立つ警官がいる。
声が放たれる。
「警部、そこでしたか」
「えぇ、もう少し遅かったら決着がつけられたのですけどね」
そして、美女は仮面を脱ぎ無表情の仮面の男を探した。
「――逃げたか」
彼女はそのことを報告するつもりはない。どう考えたとしても彼女の責任になるからだ。
気になっていた、彼女のハートのRSFに勝てる手札があるのか、と。
めくり、笑う。
「私の勝ちじゃない」
だが、希少性なら確かに彼の勝ちだ、と彼女は思う。
なにせ――道化が五枚揃っていたからだった。




