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84 三つの願いを叶えるランプの魔神

 三つの願いを叶えるランプの魔神、といえば砂漠というイメージである。

 そのテンプレートにそって古びたランプを見つけた。こすれば確かにランプの魔神が現れてさぁ願いを叶えよう、三つの願いを言えという言葉が矢のように放たれた。

 しかし、問題がある。それはランプを見つけたのは三人の旅人だった、ということだ。

 三人は魔神に待ってもらいまず順番と取り決めをしようという運びになった。

 そこで一番先に声を上げたのは遊び人だった。

「俺は一番最後がいい」

 他の商人と魔法使いはその言葉に異論はなく、他の取り決めを詰めた。

「一番最初の人間が、他のメンバーを殺したり、願いを叶えさせないようにしないことを誓ってもらおう。魔法使いの私が、それを契約魔法によって確かなものとさせよう」

 三人はそれぞれ契約魔法を受けた。不思議なもので先ほど魔法使いが話した取り決めを破ることが親や子供を殺すことと同位に禁忌を感じるようになっていた。

 そして、最後である遊び人を除いて魔法使いと商人がじゃんけんによって順番を決めた。

 結果は魔法使いが最初で二番目は商人、そして予め決まっていた遊び人という順番になった。

 魔法使いはランプの魔神に言う。

「私を国一番の大金持ちにしてくれ」

 たやすいことだ、ランプの魔神がそういうと叶った。

「意外だな」

 そういったのは商人だ。

 魔法使いは訳を話した。

「俺は頭もいいし呪文もある程度使える、だが、どうにも金の廻りが悪い。こうでもしなければ、一生金運のなさがついて回る気がしてな」

「なるほどな」

 そして、商人はいう。

「俺を人の心が読めるようにしてくれ」

 たやすいことだ、ランプの魔神がそう言うと叶った。

「これまた意外だ」

 魔法使いが言う。

 商人は訳を話した。

「俺は商才はあるんだが、どうにも上がり症だ、心でも読めれば商談で余裕が生まれる、そう思ったからだ」

 そして、最後の遊び人の番が来て、商人が取り乱した。

「おい、やめろ、それは反則だろ!?」

「どうした?」

「殺せ、誰か殺してくれ」

 そういう商人を顧みず、遊び人はつぶやく。

「二人が手に入れた願いを俺にくれ」

 たやすいことだ、魔神がそう言うと国一番の大金も心を読む異能も全て遊び人の手に渡りました。

 そして、彼らはお互いに殺すということができません。

 ランプの魔神は消えてしまった。

 そして、どういうつもりだと商人と魔法使いを問い詰めます。

 遊び人は答えます。

「楽して手に入ったものはいずれ簡単になくなるものです。俺は二人がそんな目に合うのが嫌だったからだよ」

 遊び人は二人が遊び人にそんなことを言われると思っていなかった、と肯定的に思っているのが見て取れました。

 だが、遊び人は本音を隠していました。

 三人にはそれぞれ目的があり、今は馴れ合いで徒党を組んでいたのです。

 魔法使いはお金儲けではなく魔法の才で人々を救うこと。

 商人はお金よりも困難な問題を解決し自身を成長させていくこと。

 二人は自分でも気が付かないうちにそう言う目的を持っていると遊び人は旅するうちにわかったのです。

 遊び人の目的は賢者になること。

 賢者とは人を導くことである考えます。

 二人を正しい道に立たせることができてよかった、と、そして、これが本音で、このパーティでもう少し旅ができそうでよかった、遊び人はそう考えたのでした。

はまさんからのお題でした。最初三つを一人でかなえるというのと、主人公をランプの魔神という視点で考えたのですが上手くいかず、うーんと考えるうちにこんなかんじのお話が出来ました。



もう少しで百本ですねぇ。長かったような短かったような。


完走までもう少しお付き合いよろしくおねがいします。


ではまた~

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