表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/100

61 魔法と内臓

 魔法のように彼は心臓を奪われた。

 しかし、彼は奪われながらも平然と生きていた。どころか、槍でつかれても毒で苦しめられても四肢をもがれても生きている、不死身になったのだ。

 だが、望まぬ不死の代償は奪った魔法使い、その奴隷であった。

 小間使いのごとく扱われとうとう彼は魔法使いを殺してしまおう、そう思いたつのにさほど時間はかからなかった。

 だが、敵は魔法使い。敵意を敏感に感じ取り脈打つ心臓をぎゅうと握り、彼を律するのだ。

 だから、彼は魔法使いが寝静まった時を計らって寝所に忍び込んだ。

 そして、組伏せる。魔法使いは何が起こったのか分からず戸惑いながらも心臓を握ろうとした。だが、足によって踏まれた両手は握ることもかなわず、彼は心臓に短刀を差し入れた。

 しかし、返ってくるのはなんとも不思議な感触であった。

 手応えが、ないのだ。

 何度も何度も差し入れるが手応えがない。その手応えのなさのためか短刀が滑ってあらぬ方向に落ちてしまった。

 と、そこから魔法使いの反逆だ。踏みつけが緩んだ手で心臓を握りこみ、彼を苦しめる。

 死を覚悟しながら彼は薄れ行く意識の中、燭台の光でそれを見る。

 魔法使いのそこにあるべき心臓は、ポカリと穴が開いていて存在していなかった、ということを。

 彼女も、奴隷であるという事実になにか慰められるのか、と問いかけながら意識は薄れていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ