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31 袋とスポーツ

なんざーん! なんかこればっかだなぁw

 ボクシングをなんで始めたか、最初は虐げられる弱い自分から強い自分になりたいという欲求だった。

「それは市場志向であるが、弱いな」

 学者然としたメガネのトレーナーがどうして入門したいのかという問いに対する感想がそれだった。

 最初、それは馬鹿にしているのだと思った。トレーナーは理詰めで説き、この人がすごく博識である事が分かった。

 彼が問題にしていたのは強くなってどうしたい、というヴィジョンのなさだった。

「強くなりたい、それはいい。だがその先が肝心だ。強くなって、いじめっ子にいじめ返すか?」

「ッ、そんなつもりじゃ」

「いや、どこかで思いながらそれをしたいわけじゃないと思っている、せいぜい抑止力。ただ、抑止力を持っているだけじゃこれまでと変わらないぞ?」

 それを言われ僕は強くなりたい、というのが方便であることに気がついた。

「それよりか、いじめっ子をお前のファンにしちまえよ。それぐらいの気構えでボクシングをやれ、そうじゃないとお前の対戦相手に申し訳ない」

「でも、僕、弱いですし――」

 大丈夫、メガネのトレーナーは歯をむいて笑う。それで気がついたのだが、このトレーナーは歯が欠けている。それを見て気後れしなかったといえば嘘になる。

「お前さんはボクシングで一番大切な物を手に入れている」

「なんです? 僕にもしかして才能が」

 いやない、笑顔で言い放つ、それもとても面白いというふうに笑うのだから悪気はないんだろうなと判断した。

 トレーナーは親指で自分を指す。

「俺がお前を育ててやる、お前は俺という知恵袋をゲットしているぜ」

 ニッカリ笑った顔を今でも覚えている。

 今では世界王者とまではいかないが昔僕が思い描いていた強さを超えた強さを手に入れたと思う。

「先を見通せ、何も未来を予知しろって言っているんじゃない、自分が描く強さを具体的にイメージしろ」

 ゴングが鳴る、ノックアウトなんて格好のいい勝ち方をしたことなんてない。

 けれども、今はファンもいる。ひ弱だった肉体もがっしりしてきた。

 僕の努力もある、けれどもそれ以上に僕の怯懦を根気強く導いてくれたトレーナーのおかげが大きい。

 いつか、引退してトレーナーとして働くようになったら、僕もトレーナーのようになりたい。

 誰かを導ける、弱さを持った強い人間に。

割と長編っぽいのではないかと。いつか書きたいテーマでもある。だらだらと続くのではなく、スッキリした一作、書きたいわぁ。


書いてて好きだなぁと思う。自画自賛ではないけどねw



余談が一つ、袋とスポーツと言うテーマで弟者が一個作ったんですよ、私よりも早く正直面白く。彼の頑張ってきた成果が出てるなぁと思いつつ、私も考えようと強く思いましたねぇ。



次回は明治と語り部です。最近不調気味だなぁ、いずれ慣れるのかもしれないけどまだいずれではないですなぁ。いずれを早めるため頑張っていきます。


では早い再会を祈って失礼します。

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