22 寺院と甲羅
落語か! って感じですね。自分ではなかなかうまいことを言ったと思う。書いてて楽しかったけど、まだ伸びしろがある気がする一作。
亀卜が重大な意味を持っていた頃、とある寺で亀甲を用いた占いを年始に行おうとしていた。
亀卜は培われてきた常識であり、無くてはならない行事であった。
そこで事件が起こる。占いに用いる甲羅がどこかに行ってしまったのだ。
甲羅を管理する担当の僧侶がその責任を取るように迫られた。なにせ国をあげての重大な意味を持つ儀式だ。その責任は大きい。良くて破門、悪ければ父母三族に及ぶ刑罰とされていた。
僧侶は減刑を言う前に盗んだ犯人を捕まえさせてくれと頼んだ。僧侶の師である上役はそれを認め、ただしと付け加えた。
「今年の終わりまでに取り返せ、さもなくば――」
罰を聞く前に彼は去り、犯人に心当たりがあった。
「貴様と話がしたい」
いいかな、と彼は若い僧侶に有無を言わさず話題を振った。当然のように亀卜で使う甲羅のことだ。
若い僧侶は問いただされ、堪え切れず笑い出した。
「何故、そう思うんです?」
「貴様が、政治に関心があるのを話しているのを聞いた」
曰く、腐敗している腐敗しきっている国の政治を変えたい、と。
「亀卜は言うまでもなく政治を占うのだ、貴様がそのことに不満を持っていることを私は知っている」
「えぇ、そうです、私が盗みました」
「……寺から去るがいい、私は賊を逃したと言おう」
「そうさせてもらいます、でも、貴方もわかっているんでしょう?」
腐敗した政治は占い如きでは治せないということを、若い僧侶はケラケラ高笑いしながら最後にこう言った。
「亀卜と政治の改革とときます」
その心は、問いかけを成せないまま若い僧侶は背を向けた。
「どちらもノロイでしょう」
去りゆく若い僧侶を見ながら彼はその言葉が呪詛のように頭のなかで反響する音を聞いた。
お待たせしました、この後夜勤があるので次回の投稿は少々遅れると思います。期待してみていらっしゃる方々は待たせてスイマセン。そうでない方も切磋琢磨しながら頑張って行きたいのでお付き合いしていただけると嬉しいです。
次回はお嬢様と沐浴です。パッと浮かぶのはラッキースケベですが、果たして期待に添える話をかけるのか?w?
では早い再会を祈って失礼します。




