冥界の管理者
二次小説には転生者ものが多いなーと思い書いたものです。
「バカ神がやらかした」
「・・・え?」
ここ天界の最高神から貴様に重大な話があると聞かされ緊張しながら宮殿にやってきた私、死神ことグリム・リッパー。
最高神直々に呼び出しなど滅多なことであるものではないので知らない内に何かやらかしたかとも思ったがここ最近の仕事内容の記録を何度見返しても問題があるようには見えなかった。
仕事が問題ないのなら私に話とは何なのだろう。
私は皆にワーカーホリックと呼ばれる程の仕事大好き神だ。
そんな私が何か問題を起こしてしまうとしたら仕事のこと以外無いと思ったのに。
私は首を傾げながら最高神の住まう宮殿へと向かったのだが・・・
「だからあのバカ神ロキがまたやらかしたのだ!」
「あ〜、またですか・・・」
どうやら最高神によびだされた理由は私の過失が原因ではなかったらしい。
取り敢えず安心した。
いくら生と死を司る私でもゼウスには逆らえない。
「あやつの悪戯には毎度毎度オーディンと共に頭を痛めていたが今回ばかりは度が過ぎた」
「今度は何やらかしたんですか?」
悪戯好きの神であるロキは度々人間界に無断で降り立ち人間を騙くらかすなんてことを何度も繰り返しているような神と読んでいいのかよく分からない奴だ。
ロキは人を騙すのに他の神の名を勝手に使ったりもするので騙された人間が東方の宗教家だったりすると信者の信仰心が力の源である東の奴らは多いに迷惑する。
以前東の奴らに「これ以上信者が減ったらマジで死ぬから!」と泣きつかれたこともあったくらいだ。
まぁそれからしばらく大人しくなっていたと聞いていたんだか・・・
「奴め、信者を減らす事が悪行なら信者を増やせばそれは善行なんだよね〜?と言ったきり二ヶ月戻ってこなかったのだが先日帰ってきた奴をとっ捕まえて何をしたか聞き出したら・・・」
「したら?」
「・・・目に止まった人間を手当たり次第に転生させたと抜かしおった・・・」
なんとロキくん。
生と死は私の管轄でしょうに・・・
そこに干渉されるのは気分が悪い。
「それだけでは無い。あやつ転生させた人間達に特典などという巫山戯た理由で異能を授けよった」
「異能・・・ですか?」
「しかもゲームや小説の世界に転生したいという人間の願いを聞き無断で世界を幾つも増やしておる」
ん?、げーむとは何だ?
げー務?
業務や職務といった単語と同じ様な意味だろうか?
「失礼最高神ゼウス、げーむ・・・とは何でしょうか」
「人間が使う娯楽用品だ」
ふむ、本と同じか。
仕事好きな私もアレにはなかなか興味をひかれた。
「おかげて今天界は軽いパニックだ」
「でしょうね」
世界が増えるということは処理しなくてはならない書類が何百枚も増えるのと同じ様なことだ。
創るのは簡単だが消すにはその世界の生命を根絶しなければならない。
罪の無い人間を殺すのは荷の重い仕事だ。
というのは建前で単純にめんどくさいさら誰もやらないだけ。
大騒ぎしているのは私達みたいな仕事第一の神々だけだろう。
「そこで本題だグリム・リッパー」
「はい」
「お前に任せたい仕事は転生者ならびに転生者の干渉により寿命を延ばされた者を冥界に送ることだ」
そんな事言われるまでも無い。
「転生者は既存の世界やロキの生み出した世界に数多く見らばってしまった。そして本来その世界に生まれるはずのなかった転生者はその世界に少なからず影響を与える。本来死ぬはずだった者がが生き、生きるはずだった者が死ぬ。それでは冥界の管理者であるお前の面子が立たなかろう」
「お心遣い感謝します。最高神ゼウス。必ずやその御期待に添ってみせましょう」
最高神の言う通りだ。
死ぬべき者が生き、生きるべき者が死ねば冥界の人員管理はめちゃくちゃになってしまう。
それは避けなくてはならない。
転生者とやらがどんな者達かは知らないが必ず始末してみせる。
私はそう決意を固め自身の能力で出現させた真っ黒な穴に身を投じた。
ちなみに作者は転生二次小説大好きです。