劣等感
降り続く雨だけれど
僕にはその音もその姿も見えやしない
ただ雨の発する匂いが鼻について
カーテンを開ける
なんだ明るいじゃないか
目に映る家並みはぼんやりと濡れていた
次第に斜めに落ちる欠片が見えてきて
車のタイヤが水をはじく音が聞こえて
ああ雨だ
でも弱い
僕は結局何一つまともに出来なくて
みんなと同じように出来なくて
みんなが出来ることが何一つ出来なくて
同じ空気を吸えなくて
違う味のガスを吸い込んでむせ返って
それは個性なんだって
いつからそんなこと言うようになったんだよ
あの子は来週ライブに行きたいからって
無理して派遣の仕事に行った
苦しいならやめればいいのに
また蝕まれていくだけなのに
知ってるよ誰かの財布から金をくすねてること
そんなにライブに行きたいのかよ
狂ってる
雨よもっと激しく降ってくれよ
僕を痛めつけてくれよ
ずたずたにしてくれよ
もう二度と
立ち上がれなくしてくれよ
ダメだ
結局 雨頼みだね
ああ僕のところなんかに降らなくていい
これ以上被害を広げないでくれ
雨は君を本当に望んでいる大地に
恵みの力として降るべきだ