第31話:プロポーズ
穏やかな日常が続くある日の夕暮れ、リリアーナは図書館の庭で、アルフレッドと共に花に水をやっていた。夕陽が二人の横顔を温かく照らし、静かな時間が流れていた。
「リリアーナ」
アルフレッドが、静かに彼女の名を呼んだ。
リリアーナは、花の水やりを止め、彼の顔を見つめた。
彼の深い灰色の瞳は、いつにも増して真剣な光を宿していた。
アルフレッドは、リリアーナの前に跪いた。
リリアーナは、驚きと、そして胸の高鳴りを覚えた。
「私は、これまで、権力と孤独の中で生きてきた。君と出会うまで、自分の人生に意味を見出せなかった」
彼の言葉には、これまでの孤独な人生を埋める、深い愛情が込められていた。
「だが、君と出会い、この図書館で過ごすようになってから、私の人生に光が差した。君は、私にとって、真実と、そして愛を教えてくれた、かけがえのない存在だ」
アルフレッドは、リリアーナの手を握りしめ、静かに言った。
「私の人生を、君に捧げたい。この図書館を、君と共に、愛と叡智に満ちた場所として再建し、穏やかな日々を過ごしたい」
リリアーナの瞳から、静かに涙が溢れた。
彼は、権力ではなく、自分と共に生きる道を選んでくれた。
彼の言葉は、彼女の心に深く響いた。
「私と、結婚してくれないか?」
アルフレッドの言葉に、リリアーナは静かに頷いた。
「はい、喜んで」
二人は、夕陽の中で、しっかりと抱き合った。
それは、ただのプロポーズではなかった。
それは、知と愛の探求の旅を終え、新たな人生を共に歩むことを誓う、二人の決意表明だった。
そして、アルフレッドは、リリアーナの耳元で、そっと真名の一節を告げた。
「これは、互いの真名を告げ合ったとしても、相手を所有するための力ではない。いつでも撤回できる、ただ愛を誓うための言葉だ」
二人は、結婚し、新たな人生を歩み始めることになる。
彼らの愛は、この図書館を、愛と叡智に満ちた、新たな聖域へと変えていく。




