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第26話:真実の公表

 アルフレッドが意識を失った後、協力者たちは彼を王都から遠く離れた安全な場所へと運び込んだ。リリアーナは、彼のそばを離れることなく、献身的に看病を続けた。彼の熱は一向に下がらず、命の灯が消え入りそうに揺れていた。


「アルフレッド様……目を覚ましてください……」


 リリアーナは、彼の冷たい手を握りしめ、涙を流した。このままでは、アルフレッドの命が危ない。


 その時、彼女は、アルフレッドが意識を失う前に言った言葉を思い出した。


──「真実は……君が、公にしてくれ……」


 彼は、自らの命を犠牲にしてでも、真実を公表することを望んでいた。リリアーナは、彼の願いを叶えることが、彼を救う唯一の方法だと確信した。


 彼女は、アルフレッドに付き添っていた協力者たちに、決意を告げた。


「私が、この真実を公表します。アルフレッド様が、すべてを賭けて守り抜いた真実を」


 協力者たちは、リリアーナの言葉に、短く頷いた。彼らは、アルフレッドが命を賭してまで守ろうとしたものが、どれほど重要であるかを知っていた。


 リリアーナは、カイル・ハーグリーヴスと共に、臨時評議会が開かれている宮廷へと向かった。彼女は、そこで、これまで自分が解読してきた『パリンプセストの書』の真実を、人々に語り始めた。


「皆さま。この国から魔法が失われたのは、自然なことではありません。宮廷内の重鎮たちが、その力を独占しようと、意図的に魔法を消し去ったのです」


 リリアーナの言葉に、人々は動揺した。だが、彼女は、怯むことなく語り続けた。ライオネル侯爵が、権力欲のために、無実の魔術師たちを殺害したこと。そして、その真実を追っていたアルフレッドが、反逆者として追われる身となったこと。


「アルフレッド様は、皆さまが信じていた英雄です。彼は、命を賭して、この真実を明らかにしようとしました」


 リリアーナは、アルフレッドが負った傷を見せ、彼の潔白を証明した。


 その時、カイルが、評議会に一つの目録を提示した。


「これは、ライオネル侯爵が不正に買い漁った書物の取引帳簿、私兵雇用の契約書、そして、王命を偽造した際の公文書です」


 カイルは、文書の真正性を証明するため、パリンプセストの書に由来する「真正性封蝋」を提示した。その封蝋は、特定の古紋と熱を加えることで印が浮かび上がる仕組みだった。彼は、取引帳簿の裏表紙に熱を加え、古紋を浮かび上がらせた。さらに、この帳簿が、誰が、いつ、どこで保管したかという、**保管連鎖チェーン・オブ・カストディ**を明確に説明した。


 リリアーナもまた、図書館の書物商人と、ライオネル侯爵の私兵に雇われた元兵士を証人として呼び出し、二つの証言を聴かせた。


 文書の真正性と、二つの証言が、評議会のメンバーを動揺させた。


 ライオネル侯爵の陰謀は、白日の下に晒された。人々は、ライオネル侯爵に怒りの声を上げ、彼を糾弾した。


 ライオネル侯爵は、すべての権力と名誉を失い、失脚した。そして、アルフレッドの無実が証明され、彼は再び、国の英雄として称えられることになった。


 だが、リリアーナの心は、晴れなかった。愛する人は、まだ意識を失ったままだ。彼女は、ただ、彼の回復を願って、彼のそばに寄り添い続けた。

キャラクター紹介(第26話時点)


リリアーナ・ヴァリエール: 貧乏貴族の令嬢。アルフレッドの願いを叶えるため、命を賭けて真実を公表する。彼の無実を証明し、ライオネル侯爵を失脚させる。


アルフレッド・レノックス: 若き宰相。激戦の末に重傷を負い、意識を失う。リリアーナと協力者たちの尽力によって、彼の無実が証明される。


ライオネル侯爵: 宮廷の重鎮。悪事が公になり、失脚した。


カイル・ハーグリーヴス: 文書管理局に務める若き官僚。リリアーナに協力し、ライオネル侯爵の不正を証明する決定的な証拠を提示する。

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