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第23話:最後の鍵

 リリアーナの助言によって、アルフレッドは心の枷を外し、本来の魔法の力を完全に解放した。彼の体から放たれる魔力は、別荘の空間を震わせ、ライオネル侯爵とその私兵たちを圧倒していた。


 ライオネル侯爵は、目の前で起きていることが信じられず、恐怖に顔を歪ませていた。


「ば、馬鹿な……! 魔法は、この世界から失われたはずだ!」


 彼は、血相を変えて叫んだ。だが、アルフレッドは、彼の言葉には耳を傾けなかった。彼の意識は、リリアーナの存在と、彼女が解読した最後の叡智に向かっていた。


 リリアーナは、アルフレッドに語りかけた。


「アルフレッド様。私たちが解読した『古典語(ルーメ語)』が、新たな魔法を発動させるための最後の鍵です」


 彼女は、ライオネル侯爵の別荘に散乱していた古書から、あるページを手に取った。そこには、アルフレッドが持つ力を最大限に引き出すための、特別な呪文が記されていた。それは、かつて彼の母親が、自身の力を息子に託すために記した、最後の願いだった。


「これを、私と一緒に唱えてください。それは、あなたの力が、私という存在と結びつくことで、新たな力を生み出す呪文です」


 リリアーナは、アルフレッドの手にそっと触れた。二人の心が、そして魂が、一つに結びつく。


 アルフレッドは、リリアーナの言葉を信じ、静かに呪文を唱え始めた。彼の声に、リリアーナの声が重なる。二人の声が、共鳴詠唱デュエットとなり、別荘の空間を光で満たしていった。


 その光は、ライオネル侯爵の私兵たちを一人ずつ包み込み、彼らを無力化していった。私兵たちは、苦しみもがくことなく、その場に気絶し、体は拘束されていた。死者は、一人も出ていなかった。


「な、何だ……これは……」


 ライオネル侯爵は、信じられないという表情で、二人の姿を見つめた。彼が知る魔法は、人を傷つけ、奪うための力だった。だが、二人が生み出した魔法は、温かく、そして優しかった。


 それは、古典語(ルーメ語)と、アルフレッドの持つ力が、リリアーナの愛と知恵によって結びついた、新たな魔法だった。


「この力は、誰かを傷つけるためのものではありません。真実を公表し、この世界を救うための力です」


 リリアーナは、ライオネル侯爵にそう告げた。


 アルフレッドの隠された力が、ついに完全に引き出された。彼は、ライオネル侯爵を前に、静かに、だが強い決意を秘めた瞳を向けた。


「ライオネル侯爵。あなたの悪事は、これで終わりだ」


 王都の片隅で、世界の真実をかけた、最後の戦いが始まろうとしていた。それは、権力と、愛の力が激突する、運命の瞬間だった。

キャラクター紹介(第23話時点)


リリアーナ・ヴァリエール:貧乏貴族の令嬢。アルフレッドと共に、古典語(ルーメ語)と彼の隠された力を結びつけ、新たな魔法を発動させるための最後の鍵を握る。


アルフレッド・レノックス:若き宰相。リリアーナの助けを得て、心の枷を外し、本来の魔法の力を完全に解放する。共鳴詠唱デュエットによって生まれた新たな力で、ライオネル侯爵に立ち向かう。


ライオネル侯爵:宮廷の重鎮。アルフレッドとリリアーナが発動させた新たな魔法に、驚きと恐怖を覚える。彼の悪事が白日の下に晒されようとしていた。

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