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第22話:リリアーナの決断

 アルフレッドの愛の告白に、リリアーナは深い感動と、彼を守りたいという強い思いを抱いた。ライオネル侯爵の嘲笑が響く中、彼女は、自らが持つ知識をすべて使い、この絶望的な状況を打開するための決断を下す。


「侯爵様。あなた様は、私たちの愛を嘲笑しました。ですが、その愛こそが、あなた様の計算を狂わせる鍵となるでしょう」


 リリアーナは、静かに、だが力強く言った。ライオネル侯爵は、彼女の言葉に、わずかに眉をひそめた。


 リリアーナは、アルフレッドに語りかけた。


「アルフレッド様。私には、あなたを救うための、最後の鍵が分かります」


 彼女は、ライオネル侯爵の別荘に散乱していた古書を、もう一度手に取った。そこには、これまでのどの書物にも記されていなかった、特別な魔法陣と、古典語(ルーメ語)の組み合わせが描かれていた。それは、ただの魔法ではない。それは、心を、そして魂を繋ぐための、特別な魔法だった。


「あなた様の持つ魔法の力は、あなたの母親から受け継いだものです。ですが、その力を最大限に引き出すためには、あなた自身の心が、完全に解放されなければなりません」


 リリアーナは、アルフレッドの瞳を真っ直ぐに見つめた。


「あなたの心には、母親を失った悲しみと、復讐心という枷が、はめられています。それを、今、解き放つ時です」


 アルフレッドは、リリアーナの言葉に、ハッとした。彼は、長年、復讐という鎖に縛られて生きてきた。それが、彼の心の力を制限していたのだと、リリアーナは指摘した。


「ですが、私の知識だけでは、その枷を解くことはできません。あなた自身の、強い意志が必要です」


 リリアーナは、アルフレッドに、その魔法陣と、古典語(ルーメ語)の呪文を教えた。それは、彼が母親から受け継いだ力と、リリアーナが持つ知識が一つになった、特別な呪文だった。


 アルフレッドは、リリアーナの言葉を信じ、その呪文を唱え始めた。


「発声と呼吸を合わせ、互いの視線の一致を保つこと。そうすれば、私たちの魔法は、現実を改稿できるはずです」


 彼の声に、リリアーナの声が重なる。二人の声が、ハーモニーとなって、別荘の空間に響き渡った。


 ライオネル侯爵は、二人の様子を、不審な表情で見つめていた。彼には、二人が何を企んでいるのか、理解できなかった。彼にとって、魔法は単なる力の道具であり、愛や心などという、非科学的なものは、何の役にも立たないと信じていたからだ。


 だが、その時、アルフレッドの周囲に、これまでとは比較にならないほどの、強大な魔力が渦を巻き始めた。それは、彼の心の枷が外れ、本来の力が解放された証拠だった。


「これが、共鳴詠唱デュエットによって高まる、現実改稿の力か……」


 アルフレッドは、リリアーナの手を握りしめ、静かに言った。彼の瞳は、もはや悲しみや怒りではなく、リリアーナへの深い愛情と、真実を求める強い決意に満ちていた。


 リリアーナは、アルフレッドの決断に、静かに涙を流した。そして、二人は、最後の戦いに挑むため、互いに見つめ合った。それは、知と愛の力が、世界を変える瞬間だった。

キャラクター紹介(第22話時点)


リリアーナ・ヴァリエール:貧乏貴族の令嬢。アルフレッドの愛の告白を受け、彼を守るための決断を下す。自らが持つ知識をすべて使い、彼の心の枷を外し、本来の力を引き出すための最後の呪文を教える。


アルフレッド・レノックス:若き宰相。リリアーナの助けを得て、心の枷を外し、母親から受け継いだ魔法の力を完全に解放する。愛の力が持つ無限の可能性を確信する。


ライオネル侯爵:宮廷の重鎮。二人の愛と、彼らが企てていることが理解できず、不審な表情を浮かべる。

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