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第20話:絶望と希望

 リリアーナとアルフレッドは、ライオネル侯爵の別荘へと向かっていた。


 王都から馬車で数時間、静かな森の奥にその別荘はひっそりと佇んでいた。彼らは、ここに真実を証明する最後の証拠があることを信じていた。だが、それは、ライオネル侯爵が仕掛けた、巧妙な罠だった。


 別荘の門をくぐると、静まり返った庭に、複数の人影が潜んでいるのが見えた。アルフレッドは、警戒しながらも、リリアーナを庇うように一歩前に出た。


「待ち伏せか……」


 その時、別荘の扉が開き、ライオネル侯爵が姿を現した。彼の背後には、武装した私兵たちがずらりと並んでいた。


「ようこそ、宰相閣下。そして、ヴァリエール令嬢」


 ライオネル侯爵は、不敵な笑みを浮かべた。


「なぜ、ここにいると分かった?」


 アルフレッドは、冷静に尋ねた。


「貴様の弱みを利用させてもらった。ヴァリエール子爵は、娘の命と引き換えに、すべてを話してくれたのだ」


 リリアーナは、その言葉を聞いた瞬間、視界が歪み、耳鳴りがするのを感じた。父が、自分を裏切った……?


 ライオネル侯爵は、彼女の動揺を見て、さらに言葉を続けた。


「心配するな。私は、何も知らなかったのだと、父上を説得した。家を救うため、娘の命を守るため、すべてを犠牲にしたのだと。これで、彼は一生、君に頭が上がらなくなる。そして、君は、私に逆らえなくなる」


 ライオネル侯爵は、リリアーナの心を打ち砕くような残酷な言葉を吐き出した。


 リリアーナは、絶望に打ちひしがれ、その場に立ち尽くした。


「卑劣な……!」


 アルフレッドは、怒りに震え、ライオネル侯爵に斬りかかろうとした。


 だが、その時、アルフレッドの背後から、一人の男が現れた。それは、彼が最も信頼していた、文書管理局の若き官僚、カイル・ハーグリーヴスだった。彼は、アルフレッドに剣を向けた。


「申し訳ございません、宰相閣下。私も、侯爵様の命を受けておりました」


 アルフレッドは、絶望的な窮地に陥った。ライオネル侯爵の罠は、彼の持つ人望と、正義感を逆手に取ったものだった。


「さあ、どうする、宰相閣下? ここで抵抗すれば、この娘は死ぬ。大人しく、私に降れば、助けてやろう」


 ライオネル侯爵は、勝利を確信したような笑みを浮かべた。


 アルフレッドは、リリアーナを、そして仲間たちを、そしてこの世界を救うため、一人で戦わなければならない。


 その時、リリアーナは、絶望の淵から、わずかな希望を見出した。


 彼女は、ライオネル侯爵の別荘に散乱している書物の中に、一冊の古書を見つけた。その背表紙には、見覚えのある司書の誓いの刻印があった。それは、この別荘に持ち込まれた魔法の記録の一つだった。


「……諦めない」


 リリアーナは、短く呟いた。彼女は、震える手で、その古書を拾い上げた。


 そこに記されていたのは、これまでのどの書物にも記されていなかった、断章だった。


――「絶望の淵にこそ、希望の光は宿る」


 リリアーナは、その言葉を信じ、突破口を探した。


 彼女の知識と、アルフレッドの隠された力が、今、一つに結びつこうとしていた。

キャラクター紹介(第20話時点)


リリアーナ・ヴァリエール:貧乏貴族の令嬢。父の裏切りを知り、絶望する。だが、ライオネル侯爵の別荘に散乱していた古書から、最後の叡智の断章を発見し、突破口を探す。


アルフレッド・レノックス:若き宰相。ライオネル侯爵の巧妙な罠に陥り、絶体絶命の窮地に立たされる。信頼していた仲間に裏切られ、深い孤独を抱く。


ライオネル侯爵:宮廷の重鎮。アルフレッドとリリアーナを追い詰めるため、巧妙な罠を仕掛ける。勝利を確信し、冷酷に笑う。


カイル・ハーグリーヴス:文書管理局に務める若き官僚。アルフレッドを裏切ったように見せかけるが、実はアルフレッドの策略の一部だった。

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