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第16話:隠された力

 アルフレッドが持つ、失われたはずの「魔法」の力。

 それは、リリアーナにとって、驚きと同時に、深い疑問を投げかけるものだった。

 なぜ、彼は「魔術師殺し」と恐れられながらも、魔法の真実を追っていたのだろうか。


 王都から遠く離れた森の奥。

 アルフレッドの隠れ家は、外見はただの質素な山小屋だが、内部は、彼が宰相として集めた貴重な書物や資料で埋め尽くされていた。


 リリアーナは、暖炉の前で温かい紅茶を飲みながら、アルフレッドに尋ねた。


「あなた様は、どうして魔法の力をお持ちなのですか?」


 アルフレッドは、暖炉の炎を見つめながら、静かに語り始めた。


「私の母は、魔術師の血統だった」


 リリアーナは、息をのんだ。


「魔術師……?」


「そうだ。母は、この国では数少ない、魔法を操ることのできる人間だった。そして、彼女は、魔法の力を人々のために使おうと尽力していた」


 しかし、権力に固執する者たちは、彼女の存在を恐れた。

 そして、ライオネル侯爵をはじめとする宮廷の重鎮たちが、魔法を危険なものだと世間に広め、母を「魔女」として断罪しようとしたのだという。


「『魔術師殺し』の事件は、そうして起きた。母も、その事件に巻き込まれ……」


 アルフレッドは、言葉を詰まらせた。

 彼の深い灰色の瞳からは、一筋の涙が静かに流れ落ちた。


「母は、私に、この力を隠すよう言った。いつか、真実を明らかにし、魔法を正しく導くために、力を温存しろと」


 アルフレッドは、母の言葉を守り、その力を隠してきた。

 そして、ライオネル侯爵の陰謀を暴き、母の無実を証明するため、彼は宰相の座にまで上り詰めたのだ。


「私が『魔術師殺し』と恐れられるようになったのは、それが最も効果的な復讐の方法だったからだ。彼らは、私が彼らの味方だと信じていた」


 リリアーナは、アルフレッドの孤独な戦いを知り、静かに胸を痛めた。

 彼は、誰にも理解されず、たった一人で、復讐と、そして真実の探求という重い使命を背負ってきたのだ。


「……あなたの、大切な人とは……」


 リリアーナは、アルフレッドが語った「大切な人」が、彼の母だったことを知った。

 彼女は、彼の孤独と悲しみに、深く共感した。


「リリアーナ。君が解読してくれた『パリンプセストの書』は、母が残した最後のメッセージだった」


 アルフレッドは、リリアーナの手を握りしめた。


「君が、母の願いを叶えてくれたのだ」


 彼は、懐から母の遺品である真名を刻んだブローチを取り出し、そっとリリアーナの手のひらに乗せた。

 ブローチは、かすかに温かい光を放っていた。


「そして、これは……母が私に残した、誓文の断片を刻んだ、対のブローチだ。これは『公共化の鍵』とだけ言われていた。いつかこの力を正しく使うための、最後の鍵になる」


 リリアーナの持つ知識が、アルフレッドの隠された力を、再び呼び覚ました。

 それは、ただの偶然ではなかった。

 運命によって、二人は、この真実を解き明かすために、出会うべくして出会ったのだ。


「これからは、一人ではありません。私たちが、共に戦いましょう」


 リリアーナの言葉に、アルフレッドの表情が、静かに緩んだ。

 彼は、孤独な人生の旅路に、ようやく光を見出したのだ。


 二人は、ライオネル侯爵の陰謀に立ち向かうことを、改めて決意した。

 だが、彼らが王都を離れたことで、宮廷では、新たな混乱が始まっていた。

キャラクター紹介(第16話時点)


リリアーナ・ヴァリエール:

貧乏貴族の令嬢。アルフレッドの過去と、彼が持つ魔法の力の真実を知る。彼の孤独な戦いを理解し、共に戦うことを誓う。


アルフレッド・レノックス:

母親が魔術師であり、彼女がライオネル侯爵の陰謀によって殺されたという過去をリリアーナに明かす。彼の復讐と、真実の探求は、母親の願いを叶えるためだった。

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