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第14話:宰相の決意

 アルフレッドは、リリアーナに迫る兵士たちを前に、静かに、だが威圧的なオーラを放っていた。

 彼の深い灰色の瞳は、冷徹な美しさの中に、激しい怒りを宿している。

 兵士たちは、彼の放つ殺気にひるんだが、ライオネル侯爵の命令には逆らえなかった。


「宰相閣下。我らは、ただ任務を遂行するのみ。何卒、ご容赦を」


 兵士の一人が、震える声で言った。

 だが、アルフレッドの耳には、彼らの言葉は届いていなかった。

 彼は、リリアーナの危機を前に、すべてを賭けた決断を下そうとしていた。


「リリアーナ、私の後ろに」


 アルフレッドは、静かにリリアーナを庇うように一歩前に出た。

 彼女は、彼の背中を見つめた。

 それは、これまで見たことがないほど、強く、そして頼もしい背中だった。


 兵士たちは、一斉にアルフレッドに斬りかかってきた。

 だが、アルフレッドは、微動だにしなかった。

 彼は、宰相としての権力と、そして、彼が持つ隠された力を使おうとしていたのだ。


「愚か者たちめ」


 アルフレッドは、静かに呟いた。

 そして、彼の周囲に、微かな光が輝き始めた。

 それは、この世界から失われたはずの、魔法の光だった。


 リリアーナは、驚いて息をのんだ。

 アルフレッドが、魔法を操ることができる。

 それは、彼が「魔術師殺し」と恐れられながらも、魔法の真実を追っていた理由だった。


 アルフレッドは、静かに手をかざした。彼の体が光を放ち、周囲の空気が震える。

 すると、彼の指先から放たれた光が、兵士たちを包み込む。

 兵士たちは、苦しみもがくが、その体は光によって動きを封じられていた。


「私は、二度と大切なものを失いはしない」


 アルフレッドの瞳は、静かな炎を宿していた。

 彼は、ライオネル侯爵の陰謀に立ち向かうことを決意したのだ。


 彼は、リリアーナに背を向けず、ゆっくりと話しかけた。


「リリアーナ。この図書館にいることは、もはや安全ではない。君を、ここから連れ出す」


「ですが、図書館の書物が……」


「大丈夫だ。君が解読した真実は、すべて私の頭の中にある。そして、この書物も、私が必ず守る」


 アルフレッドは、動けない兵士たちを横目に、リリアーナの手を握った。

 彼の指先は、ひんやりと冷たかったが、その手のひらからは、確かな温かさが伝わってきた。


「行くぞ。この図書館から、そしてこの王都から、一旦逃れる」


「逃げるのですか……?」


「そうだ。だが、これは敗走ではない。勝利のための、戦略的な撤退だ」


 アルフレッドの言葉に、リリアーナは頷いた。

 彼女は、彼がすべてを賭けた決断をしたことを知っていた。それは、宰相としての権力と、彼が持つ隠された力を使い、巨大な陰謀に立ち向かうことを決意した瞬間だった。


 二人は、図書館の裏口から、静かに脱出を図る。

 王都の夜は、静かだったが、その静寂の裏で、巨大な陰謀が動き始めていた。

キャラクター紹介(第14話時点)


リリアーナ・ヴァリエール:

貧乏貴族の令嬢。アルフレッドが持つ、失われたはずの「魔法」の力を見る。彼の決意を知り、彼と共に王都から脱出する。


アルフレッド・レノックス:

若き宰相。リリアーナの危機を察知し、彼女を守るため、自身が持つ隠された力である魔法を使い、ライオネル侯爵の私兵を退ける。彼女と共に、王都から決死の脱出を図る。


ライオネル侯爵:

宮廷の重鎮。自らの陰謀が暴かれることを恐れ、リリアーナの命を狙う。

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