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第13話:迫りくる危機

 リリアーナとアルフレッドは、ライオネル侯爵の陰謀の全貌を解き明かし、静かな高揚感に包まれていた。

 だが、その高揚感は長くは続かなかった。

 真実を知った二人の存在は、ライオネル侯爵にとって、もはや見過ごせない危険な存在となっていたからだ。

 彼は、自らの陰謀が暴かれることを恐れ、リリアーナの存在を危険視し始めた。


 その日の午後、リリアーナは図書館の庭で、アルフレッドが持ってきてくれた珍しい花の手入れをしていた。

 彼は、彼女が庭で穏やかな時間を過ごすことを好むのを知っていたからだ。

 リリアーナは、無心に土をいじりながら、心の中でこれからのことを考えていた。


 ──この真実を公表すれば、私たちの生活は、もう元には戻らない。


 それでも、彼女に後悔はなかった。アルフレッドと共に、正しい道を選びたかったからだ。


 その時、庭の門が静かに開く音がした。

 リリアーナは、顔を上げ、そこに立つ人物を見て、息をのんだ。

 そこに立っていたのは、見慣れない男が二人、立っていた。彼らは、宮廷の兵士の制服を着ていたが、その表情は冷酷で、明らかに敵意を帯びていた。


「リリアーナ・ヴァリエール令嬢だな。宰相閣下の命令で、お迎えに参りました」


 男の一人が、低い声で言った。

 リリアーナは、警戒しながらも、冷静に対応しようとした。


「アルフレッド様は、今、執務中のはずですが……」


「我々は、閣下の命で、令嬢を保護しに来た」


 男たちの言葉は丁寧だったが、その手には、剣の柄にかけられた手が、隠されていた。

 リリアーナは、それがアルフレッドの命令ではないことを察した。これは、ライオネル侯爵の手の者だ。


 彼女は、一歩後ずさりながら、図書館の扉に手をかけた。


「私は、ここを離れるわけには……」


「問答無用」


 男たちは、一斉に剣を抜き、リリアーナに迫ってきた。

 彼女は、恐怖で体が震えた。だが、この場で彼らに捕まってはならない。

 アルフレッドが、この図書館に戻ってくるかもしれない。彼が戻る前に、何とかこの場を凌がなければ。


 リリアーナは、庭の隅にある、古びた井戸に駆け寄った。

 男たちは、彼女を捕らえようと、さらに追ってくる。


 その時、リリアーナの胸元で、かすかな光が放たれた。

 それは、アルフレッドが彼女に密かに施していた、守護の魔法の護符が発動した証だった。

 その光に呼応するように、図書館の扉が、勢いよく開いた。


「そこまでだ!」


 そこに立っていたのは、アルフレッドだった。

 彼は、執務服を乱し、息を切らせていた。

 どうやら、守護の魔法の発動で、嫌な予感を察知し、急いで戻ってきてくれたようだ。

 彼の瞳は、怒りに燃え、冷徹な美貌は、殺気すら帯びていた。


「宰相閣下……!」


 兵士たちは、アルフレッドの突然の登場に、驚きを隠せない。

 だが、彼らはライオネル侯爵から、リリアーナを捕らえるよう命じられていた。


「申し訳ございません。閣下の命令で……」


「私の命令などない。お前たちは、ライオネル侯爵の犬か」


 アルフレッドは、静かに、だが、威圧的な声で言った。

 兵士たちは、一瞬ひるんだが、ライオネル侯爵の命令には逆らえなかった。

 彼らは、アルフレッドに剣を向け、攻撃を仕掛けてきた。


 リリアーナの身に、静かに危機が迫る。

 そして、その危機を前に、アルフレッドは、すべてを賭けた決断を下すことになる。

キャラクター紹介(第13話時点)


リリアーナ・ヴァリエール:

貧乏貴族の令嬢。ライオネル侯爵が差し向けた兵士に命を狙われる。アルフレッドの危機を察知し、彼を助けようとする。


アルフレッド・レノックス:

若き宰相。リリアーナの危機を察知し、図書館に戻ってくる。彼女を守るため、すべてを賭けた決意をする。


ライオネル侯爵:

宮廷の重鎮。自らの陰謀が暴かれることを恐れ、リリアーナの命を狙う。

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