盗まれた作品達
作っても、作っても、作品は盗まれる。俺が作ったモノを、“自分の作品”だと偽って、儲ける輩によって…。
何度も奪われ、後から自分の作品を世に出せば、事情を知らない観客達からパクリだと罵られ、創作欲が削られては、描けなくなってしまった事は数知れず。ならば、もう描かなきゃイイじゃんという者がいるが、そうじゃない。
自分が、頭を使って、時間を削って、少しでも理想へと近付けて完成させた作品なのだ。ソレを、途中経過を盗み見た奴が、先に仕上げて世に放つ。そうすると、理想へと近付ける為に、かなりの時間を割いて仕上げた俺の方が後に作品を公開する事の方が多いから、【パクリ人間】というレッテルを貼られ……屈辱的だ。
俺の、作品なのに……。
如何して誰も、認めてくれないんだ……っ。
そんな最悪の状況でも、俺は描き続けた。
描くのが好きだから。
作品の一つが有名になって、生活が出来るぐらいに稼げたらいいなぁ…。
それで、俺が亡くなった後世に、“俺の作品”を語り継がれたら……現状じゃ、夢のまた夢かな…っ。
………良い事が長く続かない様に、悪い事も長く続くワケではないと、誰かが言った。
俺の作品をパクっている事を黙認していた者の良心が痛み、罪悪感が最高潮に達したからなのか、それともパクってる奴の作品がどんどん落ちぶれていって、【神作品を生み出す人間】と偽る事に限界を感じたのかは判らない。只、コレだけは言える。
作品をパクって、平然と自分は神作品を創作した素晴らしい人間だと威張り散らしていた奴は、暴露系に悪事を告発された。自作発言をしていたが、実は他者の作品を盗作して、荒稼ぎをしていたという内容だ。
奴が悪事を働いてる事を知っていたにも関わらず、俺の事を居ない人扱いして、奴の作品の人気を後押しした有名人もその後に罰せられ、とんでもない事になったが、ソレは割愛しておく。
被害者として、俺の名は紹介され、それを機に、俺の作品を見てもらえる様になった。
芸能人だと、結構有名になって、時の人に…みたいな話を聞くが、俺の作品は実力不足だからか、有名になったのは最初だけで、直ぐにいつものフォロワー数に戻った。
「……悔しいなぁ…っ」
悔しい…。世間から、自分の作品を認めてもらえないのは…っ。
……………。
……でも…。
「おかえりっ! 」
盗作されていた事によって、“自分の作品”だと名乗れなかった作品達が、漸く俺の作品だと言える様になった。
アイツみたいに売れなかったとしても、俺の作品達は帰ってきたのだ。それだけでも、結構な収穫だ。