第1章-05
【――と、いう事らしいけど?】
「……いや、だとしてもこの距離であんなの相手に俺が何できるってんだよ……」
【さっきの説明の続きだけど、君達にはそれぞれ特性にあった武器が1つずつ与えられている。君は銃みたいだな、オトウノリヨシ。その腰に装着された銃を使えばいい】
「――え――」
そう言われてパーカーの下をまさぐり気づいた。確かに腰にホルスターが装着されていて、銃がぶら下がっている。
しかも――この銃は――
【M686皇夜カスタム……と、資料に書いてある】
「そんな……ゲームの中の銃がなんで……」
【そんな事より――助けるなら、早くしないとマズいんじゃない?】
「……いや……撃って当たったら死ぬじゃないか。殺人は……」
【ちなみにあの群衆者はもう人間じゃない。まぁ、それでも元人間だし、見た目が人間に近い奴もいるから迷う気持ちは分かるけどね。ただ、グズグズしていると――】
――は?人間じゃないのか。だったら――問題ないじゃないか――
俺はホルスターから銃を引き抜くと少女に一番近づいている蜘蛛人間に撃った。
初弾の命中を確認してから続けざまに撃ち続け、駆逐していく。
なるほど、確かに人間ではないようだ。血の色が気味の悪い黒さだし、倒れた後に身体がバラバラに崩れていく。
【……なんで突然そんな思い切りがいいんだ。なんというか……切り替えが速すぎて気持ち悪い】