第1章-04
【アレは”群衆者”って呼ばれてる者達みたいだね】
「ぐん……しゅう、しゃ……?」
【そう。一人一人の攻撃力は大した事ないらしいけど、集団で襲われるとやっかいだ。さて、あの女の人を助けるなら――】
――は?何言ってるんだ。
「――助けるって――なんで?」
【……え……?】
「冗談よせよ。こんなわけわからない場所にいきなり来て、しかもどんな仕組みか知らないけど頭の中に音声が響いて。それでいきなり誰かを助けるだとか何とか……そんな思考になるわけないだろ。100無いって」
【……放っておくとあの女の人は死ぬかもしれないのに?】
「そんなの俺のせいでも何でもないだろ」
【はぁ……最悪だな。よりによってこんな奴の担当者になるだなんて……】
――言葉通りの意味で言うが、知った事かよ――
「それにあの子が俺に助けてって言ってるわけでもないし……そもそも、俺の事にも気づいてないだろうし」
【いや、それは――】
ボイスが何かを言いかけるより先に、なんとその少女がこちらを見上げ――俺とバッチリ目が合った。
「……へ……ヘールプぅ!!ヘルプッ!!」
おかしな蜘蛛人間を木刀で牽制しながら叫んだ彼女の声は……間違いなく耳に届いてしまった。