第1章-03
おそらく俺よりずっと年下な気がする少年は、小馬鹿にしたようにそう言った。
それとも――あるいは何かの罰なんだろうか。
いつも胸にある得体の知れない恐怖。
俺は前世で何かとんでもない罪を犯して、だからこんなわけのわからない目にあうんだろうか。
――と、その時突風が吹いて俺は思わず腕で顔をかばった。
ここは、どこなんだ?少なくともかなりの高さのある時計台の上層階に俺はいるようだ。
こんな時計台がある街を俺は知らない。
そして――その風にまぎれて――何か――女性の悲鳴のようなものが耳に届いてきた。
展望台の柵に手をかけ、下を見下ろす。眼下にはさらに広い庭園のような階層が広がっていた。
この時計台はかなり巨大な建造物らしい。
同時に目に飛び込んで来たのは……
「――っ!はは……いや、どう見たって夢だろこれ……」
四つん這いで蜘蛛のように奇妙な動きをしながら走る人間の群れ。
そして……それに追いかけられているのは……少女?
木刀を持った少女のようだった。
剣道部か何かなのだろうか。いわゆる剣道着って言われている服を着ているようだ。
そしてよく見ると……蜘蛛人間達の首から上は……目がたくさん生えている吐き気を覚えるような姿だった。いや、もはや蜘蛛そのものの怪物もいる。
グロテスクな化け物に追い掛けられる剣道少女。これは本当に……まるで……夢……いや……”あのゲーム”そのものだ。