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大聖女エルサーシアの娘たち~あっちゃこっちゃで大騒ぎ!  作者: おじむ
第二章 路地裏の少女
88/97

*第88話 むらさき

ルルナが平凡同好会とジャニス達に課した

挽回ばんかいの手段は「平凡の友 臨時増刊号」にて、

王家の名誉回復の記事を掲載する事であった。


暴露記事を書いたセイシュール・ニャーゴロンは

ろくな取材もせずに、出鱈目な事を書く

チンピラまがいのゴシップ記者で、

編集部もまんまと騙されたと言う事にした。


当人は編集部の追求を受けて逃走し、

現在は行方ゆくかた知れずとされた。


これに合わせて話題の新人小説家

ミュラー・サキ・シーキンズが談話を掲載した。


<セイシュールなる人物こそは、

さかしらに言葉をろうしてまつりごとを語れども、

いと不束ふつつかなりて誤り多く、はなはいたずらなり。


そのあだになりぬる人の果て、

いかでかはよくはべらむ。>


と散々にこき下ろした後で、打って変わって

オバルト王家をたたえた。


盛大なマッチポンプである!


「あんた、恥ずかしくないの?」

「丸く収まるのならいいじゃん。」

「前世でも清少納言をディスってたわねぇ。」

「気に入らないのよね~あの女。」


当時の二人の立ち位置を例えるならば、

清少納言は学者肌のエッセイスト、

紫式部はネット小説家の様なものである。


どちらも本業は侍女であった。

仕事ぶりは清少納言に軍配が上がったようで、

何かに付けて比べられていた紫式部は、

彼女を目の敵にしていた様だ。


「あんた精霊でしょう?」

「そうですけど何か?」


京都のかたきを異世界でつ!


それはさておき、この増刊号にはもう一つ

特大のサービスページが設けられていた。


初めてルルナのグラビア写真が掲載されたのだ。


マジカルプリンセスのコスチュームで

ロイヤルムーンステッキを片手に、

様々なポーズを、色々な角度から、

エロエロな演出で爆撮!


売れた~

売れました~


重版につぐ重版!

徹夜続きで印刷所の職員が倒れるほど売れた。


売り上げカッポリでニンマリ!

王家も名誉回復でニッコリ!

いや~良かった良かった~


「はぁ~」


なのにジャニスはメランコリ~

どうしたのだろう?

最近は溜息ばかりをつく。


「何をたそがれてるのよ~」

「何でも無いわよ。」

「何でも無いわけ無いでしょう?」

「うるさいわね~」


「やっぱりあれでしょう?」

「何よ。」


「ク・ラ・ウ・ス」

「!」


「ほらぁ~赤くなった~!」

「なって無いわよっ!」


なってるよん!


なんだぁ~そうかぁ~

惚れちゃったのかぁ~


他人の空似だと分かった後、

改めて挨拶をして一緒にお茶を楽しんだ。

なるほど別人だ。


以来、時々ティータイムを一緒に過ごしている。

優しい眼差しに鼓動が高鳴る。

良く通る声が心地よい。


「ジャニス殿は王都の精霊院に通うのかな?」

「は、はい~そうだと思います~」

「では同級生になるね。」

「はい~」

挿絵(By みてみん)


「楽しみだね。」

「はい~」

「ふふっ!可愛いね。」

「か、か、揶揄からかわないで下さい~」


いやぁ~はずかしおすえ~~~


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