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大聖女エルサーシアの娘たち~あっちゃこっちゃで大騒ぎ!  作者: おじむ
第二章 路地裏の少女
83/97

*第83話 お気遣い無く!

これまで正式に聖女と認定されたのは

大聖女エルサーシア様と、

その娘の三姉妹だけだ。


デーデルン出身の四姉妹も聖女だと

言われているけれど、

あくまでも非公式なものだ。


今回、私が認定されれば五人目の聖女。

しかも平民の無印聖女だ。

教会はそれが嬉しくて堪らないらしい。


王家も教会も大聖女様には頭が上がらない。

戦争に勝てたのも大聖女様のおかげだからだ。

感謝はしているが、とても扱いづらい人物で、

何をしでかすか分からない怖さがあるそうだ。


だもんで何の関係も無い私を抱き込んで、

大聖女様とは少し距離を置きたい様だ。


王家も先代がご逝去されてからは、

あまり親しい付き合いはしていないらしい。

現国王は影の薄いお方で、市井の人達には

名前を知らない者も多いのだとか。


ここいらで人気取りをしたいだろうから、

王族との縁談もあるかもよぉ~


と、


とてもおしゃべりな世話係の女官さんが、

私の髪を結いながら、聞いてもいないのに

教えて呉れた。


世知辛せちがらい話しを楽しそうに言うなぁ~

気が滅入めいる~


「ふむふむ、なるほどなるほど。

それで?ほうほう!なんとまぁ!」

挿絵(By みてみん)


香子かおるこはとっても聞き上手!


なんちゃら公爵夫人と、かんちゃら伯爵が

不倫関係だとか、王太子の長男は我儘で

手が付けられないとか、

王宮の噂を聞き出しては書き留めている。


そう言えば、こいつにはヤバイへきがあったな。


「あんた、それ人に言っちゃ駄目だからね。」

「え?なんで?」


あ~やっぱり~

言いふらす気まんまんじゃ~ん


こいつの事だから言うだけじゃ済まない、

ほにゃらら日記とか題名つけてばら撒くぞ!


「揉め事になるに決まってるからよ!」

「匿名で投稿するから平気だよぉ~」

「投稿って!何所に?」


何を言い出すんだ!こいつは!


「”平凡の友”とか言う会員向けの情報誌に

記事を書いてみないかって誘われたのよ。」


「誰に?」

「精霊の先輩に。」

「何で?」


「なんでも精霊新聞に”紫式部現る!”って

大見出しで出たらしいのよねぇ~

ほら~私って世界最古の女流作家ってことで

有名でしょう?」


精霊新聞なんてあるんだ・・・


「とにかく!私を巻き込まないように

してちょうだい!

やっかい事は御免よ!」


「分かってるってぇ~」


あぁ~不安だぁ~


***


聖女の就任式に備えて打合せや予行練習を

している所に、お客様がお見えですと

女官が取り次いで来た。


なんでも聖女アルサラーラ様の使いだとか。

何の用だろう?


応接の間に行くと、私と同じくらいの歳の

少女と人型の精霊が居た。

聖人サナ様とトモエ様だ!


序列では私の方が上になる筈なんだけれど、

有名人を前にすると緊張する~


「おぉ~来た来た!ほな行こか!」

「ど、何所へですか?」


挨拶抜きでいきなり?


「孤児院に決まっとるがな!

みんな待っとるで!早よ行こ!」


「こ、孤児院ですか?」

なんで?忘れ物あったかな?


「そうや!みんなで練習したんやろ?

一人だけ仲間外れは可哀そうやっちゅうて、

迎えに来たんやがな。」


あぁ~~~!

忘れてたぁ~~~!

精霊歌だぁ~~~!

そう言えば今日だった~~~!


「い、いえ~どうぞお気遣い無く~」

「何言うてるねん!主役が居らなんだら

話しにならんやんけ!」


「主役?」

「そうや!アンタ聖女なったそうやな!

ほいで精霊が紫式部やてな!

平凡同好会の連中喜んどったでぇ~」


「平凡同好会?」


「知らんかいな?

ミサはんが主催してはるんやけどな~って

そんなんどうでもえぇねん!」


うわぁ~なんどっしゃろう、この人。

やりにくおすえ~


***


で・・・

断り切れずに帰って来ました孤児院へ・・・


「まぁ!貴方がジャニスね!可愛らしいわね!

さぁ、こちらにいらっしゃいな。」


と・・・とんでもない別嬪べっぴんさん・・・

この人がアルサラーラ様か・・・


まさに男装の麗人!

カッコ良い~~~


「は、初めまして!ジャニスと言います!」


「分かっていましてよ。

私はアルサラーラ、

サラーラと呼んで頂戴な。」


「はい~~~!」


さすがコブシ・ジェンヌのトップスター!

後光が差してる!


「さぁ、みんな並んで!

一緒に歌いましょうね!」


まじかっ!

あぁ~あの顔で!あの声で!

あれを歌うのか!


えぇい!ままよっ!

この人と一緒に歌えるのなら、

どんな下品な歌でもかまうものか!


よし!歌うぞ~~~!


『父~ちゃんがコタツでぇ~♪

屁ぇ~こい~た~ぁ♪


母~ちゃんもコタツでぇ~♪

屁ぇ~こい~た~ぁ♪


おいらも~おまけでぇ~♪

屁ぇ~こい~た~~~ぁ♪』


ドン~~~チャッチャ♪ドン~チャ♪

ドン~~~チャッチャ♪ドン~チャ♪


『今~も~聞こえ~る~♪

 よがりたお~す声~え♪


今~も~聞こえ~る~♪

あの~あえ~ぎ声~え♪


工事現場~の~ビルの~上~♪

向かいの~ホテル~が~♪

丸見え~で~♪


聞こえ~て~来るよ~♪

昼間~から~♪


若い~ねぇちゃんの~♪

盛る~声え~♪


エロい~ねぇちゃんの~♪

盛る~声え~♪』


これが精霊歌どすえ~~~~~~


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