*第74話 海外公演でおます
「デカシーランドですかいな?」
「えぇ、そうよ。」
デカシーランドっちゅうのんは、
ジンムーラ大陸のいっちゃん南の
端っこにありますねん。
22年前までバルドー帝国の
植民地でしたんやけど、
独立して共和国になりましてん。
この世界で唯一の民主国家やそうですわ。
ウチのお母ちゃんの故郷ですねん。
ちゅうても行った事おませんけど。
なんでも七つの州の代表が連邦政府たらで
合議して国を動かしとるそうですわ。
ほいで国王の代わりに大統領がおる。
どっかで聞いた話やなぁ思たら、
前世のメリケン国がそうでしたわ。
ペリーはんのお国ですな。
「大統領からの招待なのよ。
お姉様方はあまり乗り気では無いのだけれど、
陛下からのお口添えだから断れないわね。」
「そいでサラーラ様に白羽の矢っちゅう
わけですかいな。」
「そう言う事よ。」
コブシ歌劇団にはトップスターの所属する
百合組と、新人で構成された鈴蘭組がおます。
全員が貴族のお嬢様ですわ。
しかも二百年以上続く家柄やないと
入れまへん。
伝統と格式を重んじますねん。
せやさかい外国で公演するんは
その国の王室から招待が有った時ですねん。
大統領っちゅうても平民でっしゃろ?
誰に向かって言うとんねんワレぇ!
てなもんですわ。
ところがぁ~や!
去年の夏に王太子のナコルキン殿下が
即位しましてん。
先代王が高齢でドンならんくなってしもて
譲位しはったんですわ。
そん時に王冠を新調しましてんけど、
それに飾る宝石をデカシーランドが
献上したんですわ。
目ん玉くらいデカいギヤマンですわ。
出ますねん、あそこは。
エッグぃのんが。
そらもうナコやん大喜びですわ。
ルビーやらサファイヤやらでギラギラしとる、
そのど真ん中にバチコ~ンっと嵌めて
戴冠式ですわいなぁ。
大統領も招待してましたわ。
ネイサン・パレットたら言うてましたな。
お母ちゃんの知り合いやねんて。
レジスタンス時代の同士やったそうですわ。
「あの根暗の策士が大統領やで。
世の中どう転ぶや判らんわ。」
お母ちゃん曰く。
何を考えてけつかるか判らんっちゅう事ですわ。
噂ではえらい独裁政権やっちゅう話でっせ。
あっちゃこっちゃで暴動が起きとる言うや
おまへんか。
そんなとこで公演なんか出来まんのかいな?
さすがに百合組の派遣なんて出来まへんがな。
ほいで鈴蘭組にお鉢が回って来たっちゅう
わけですわ。
え?
大丈夫かやて?
なぁ~~~んも心配いりまへん。
なんせ今の鈴蘭組には聖女が二人と
それを護衛する聖人が二人居てますねん。
聖女は、まずサラーラ様でっしゃろ。
ほいでエイミーはん。
護衛はウチと、もう一人は兄ちゃんですわ。
国の一つや二つ、ドォ~ンのバァ~ンで
ギャァ~ン言わしたりますがな!
言い忘れてましてんけど、エイミーはんも
歌劇団に入りましてん。
エイミーはんは、サラーラ様にベッタリで、
もうまるで恋人同士みたいですわ。
いや、ひょっとしたらホンマに・・・




