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*第66話 お父様

デーデルン大公国の東部沿岸から船で半日沖へ向かった所に、

断崖絶壁に囲まれた孤島が在る。


唯一の船着き場には監視塔がそびえ立ち、

島の出入りは厳重に管理されている。


ここは監獄島ナイカトラズ。

入ったが最後、死んでも出る事は叶わない。


<ひゃひゃひゃ!暗いのぉ~>

<かび臭いよ~>

「うふふふふ。まったく予想外だね。うふっ!」


それは突然の事だった。

研究所にデーデルン軍の兵士が数十人で押しかけて来た。

有無も言わさずにカヒを捕らえそしてこの監獄島に収監したのだ。


<年寄りには酷じゃわぃ、ふぉふぉふぉ。>

「うふふ、ドルフが来たら待遇改善を要求しないといけないね。」

<泣かないでねカヒ。>

「大丈夫だよ、ソイラン。泣かないよ。うふふ。」


地下牢の壁にカヒの声だけが跳ね返る。


「ま~た独り言げな、気色悪かね~」

「頭いかれちょるごたるけん。」


当然だが監視兵の二人にはデコー老人とソイランの声は聞こえない。


おいっ!(ガンッ!)やかましかね!(ガンッ!)静かにしないっ!(ガンッ!)

何べん言わせると!ほんなごとしぇからしかぁ!」


鉄の扉を警棒で叩きながら監視兵が怒鳴りつけた。

挿絵(By みてみん)


「おや、それは済まなかったね。気を付けるよ、うふふふふふふ。」

<ひゃひゃ、気の短い奴らじゃのぉ。>

<怒られちゃったね、カヒ。>

(なぁに、構わないさ。)


***


何所へ行ったのか?と散々に探し廻り、

どうやら大聖女の所に居るらしいと報告を受けて

デーデルン大公ドルフはブチッと切れた!


「なんばしよ~とや!あの馬鹿ちんがぁ!

もう甘い顔はせんたい!ぼてくりこかしちゃるけん!」


直ぐ様にカヒを捕らえる様に命じて

姉妹が戻って来るのを待つ事にした。


「情の深かおなごやけん、よう見捨てらんめぇもん。」


彼女達はエルサーシア同様に身内に対する愛情が非常に強い性質をしている。

若草姉妹が制御不能である事にごうやしたドルフは、

姉妹が親として慕っているカヒを人質にして、

彼女達を命令に従わせようと考えた。


***


「ねぇ、そろそろ帰らないとお父様に叱られるんじゃない?」


やっと気が付いたかな?


「そうねぇ、一度、帰りましょうか?」

「今度はお父様も連れて来ましょう!」


いやぁ~それはちょっと・・・


「それが良いわ!」

だからそれは駄目だってぇ~


「今の内におしっこ済ませなさい、エイミー。」

「はぁ~い!」


ちょっと里帰りのつもりだった。

出来れば父親も連れて来て、みんなで仲良く此処で暮らせば

それが一番良いと思った。


若草の姉妹はそれきり戻っては来なかった。



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