*第60話 プロポーズ大作戦!
精霊院療養所の一室でアーノルドは、四柱の特級精霊に囲まれていた。
ミサ、ミコ、魔子の正会員と、最近ようやく見習いとしての
入会を認められたハニーの四柱だ。
会の活動中は庶民形態のフラワーハニーでいる事を義務付けられている。
「もうすぐアーミアが来るから、打合せの通りにするのよ。
いいわね?」
「あい分かった。」
「くれぐれも、さっきみたいな事を言ったら駄目よ。」
「あれは引くわぁ~」
”平凡の友”の巻頭記事として「愛の聖女に恋人誕生!」と題した
独占スクープの取材で来たのだ。
「アーミアの何所を好きになったの?」
と聞いたら
「あの氷の様な目で見つめられたい。」
とか・・・
「あの天使の声で罵られたい。」
とか・・・
「麗しい指先で魔法を叩きつけて欲しい。」
とか・・・
12歳とは思えない香ばしい発言が個室の空気を振動させた。
「ちょっとぉ、こいつヤバいよ。」
「目覚めちゃってるよぉ。」
「どうする?中止する?」
最近はネタ不足でマンネリ化に悩んでいた。
こうなったら脱ぐしか無いのか?
と思案していた所に飛び込んで来た話題である。
ボツにするには惜しい!
初デート企画!とか、接吻の決定的瞬間!とか、
シリーズ化する予定だった。
「えぇ~大丈夫だよぉ~カルアンみたいなもんだしぃ~」
ハニーは相変わらずお気楽だぁ~
「そ、そうよね!」
「逆にお似合いだわ!」
「まともな人間に聖女の相手は無理よ!」
売り上げの誘惑に負けた・・・
「あっ!来たみたい!」
「じゃぁ皆んな配置に着いて!」
「チラロイドはオッケーよ!照明さん!影の映り込みに注意してね!」
「はぁ~~~い!」
ハニーよ・・・
君は序列第二位の先輩なのだよ・・・
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保護者同伴で来た。
と言っても双子とアルサラーラだけれども。
「大丈夫よ!私達が付いているから!」
「から!」
「いきなり砲撃しては駄目ですわよ!」
「う、うにゃらご」
ガチガチに緊張している。
恋愛免疫ゼロである。
侍女が来訪を告げると、取次の侍従が応答し中へと案内をする。
さぁ!ご対~面~
「はぁ~い、アーミア~笑って~
こっちに目線お願いしまぁ~す!
はい!オッケーでぇ~す!」
「貴方達は何をしているの?」
アルサラーラは呆れてしまった。
「あぁ~私達の事はお構いなくぅ~」
「単なる取材ですからぁ~」
「はい、続けて続けて~」
「はぁ~仕様の無い子たちですわね。
まぁ良いですわ、話を済ませましょう。」
「ちょっと貴方!あれは本気ですの?」
「ですの?」
グッと前に出た双子がアーノルドに詰め寄る。
「もちろんだ!姫に誠を捧げよう!」
言葉は格好良いけれど目がいっちゃってる~
「だそうよ、どうするの?アーミア。」
「どうするの?」
「ふにゃらもごにょ・・・」
それは知らない方が・・・
「何故に私か?と言っていますわよ。」
通訳はアルサラーラが務める。
「あぁ!何もかも愛おしいのだ!その目も!その声も!狂った頭---」
「はぁ~い!アー君~ん!目線こっちへちょうだぁ~~~い!」
「ごにょろ?」
頭って言ったよ、狂った頭って。
「いやぁ~愛されてるねぇ~
一途だよぉ~アー君はぁ~
良かったねぇアーミア~」
「どうやら本気らしいわね。」
「ね。」
「お姉様はどうですの?」
「え、えぐも・・・にょれ・・・」
「姫!どうか私の愛を受け入れて欲しい。
その目に我を映し給え。
その口で我の名を呼び給え。
その手で我に触れ給え。
我は汝の僕となりて、その足元に膝まづかん。」
一体なにを教えているんだよぉ!
「うわっ!キモっ!」
思わず言ってしまったねサラーラ。
確かにキモいけど~
「もごごうにゃふにゅ
ごにょりごにょごにょ。」
意外とツンデレ~~~




