*第48話 ルルナ怒る!
「なんですってぇ~!!」
「ぎゃぁぁぁ~~~!!!」
あまりの事に驚いたエルサーシアが、大きな音を立ててカップを落とした。
「それは本当かしら?シモーヌ。」
「へぇ、なんでもテロポンの密輸に
使われたっちゅうてますわ。」
密輸の一件が解決するまでは、コイントとの取引が停止されたのだ。
トキシラズだけではない。
ホジクリーナもハニツマールもだ。
どれもエルサーシアの大好物。
それを穢した罪は重い。
「この私に喧嘩を売るなんて良い度胸ですわ!あら、どうしたの?ルルナ。」
ひびの入ったカップを胸に抱いてルルナがさめざめと泣いている。
「これはサーシアと契約10周年の記念に特注したカップなんですよぉ~」
「まぁ!それは悪い事をしたわねぇ。
今度一緒に工房に行って新しいのを注文しましょうね。」
「絶対ですよ!いつ行きます?明日ですか?それとも今から?」
「そうね、ちょうど王都に用事が出来たから、今から行きましょうかしら。」
憲兵隊本部に事情を聴きに行くついでにロイペの工房に寄る事にした。
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「なんですってぇ~!!」
ロイヤル・テッペン・ハーゲン本店。
その工房でルルナは崩れ落ちた。
染付に使う顔料が品切れで、注文の受付が出来ないと言われたのだ。
コバルトブルーの深い色合いを出す為には、呉須と呼ばれる酸化コバルト系の
化合物が必要なのだが、
ロイペではコイント産の呉須に拘っている。
「あれじゃないと駄目なんですよ。」
マイスターは頑固一徹の職人気質だ。
ルルナもそこは心得ている。
それでこそ一流品が作れるのだから。
マイスターの話では在庫分だけでは、新規の注文を作る量が足りないそうだ。
1セットの茶器を作るのに、最低10セット分を作り、
その中から納得の一点を選ぶのだ。
ルルナに納める場合は3倍の量を作るそうだ。
「精霊王様にお渡しするのならば、完璧な物でないといけません。」
あの繊細な形と趣きは、そうやって生み出されるのだ。
「あぁ・・・何という・・・」
それもこれもテロポンのせいだ!
憲兵隊はまったく役に立たなかった。
例によって商人は何も知らず、現場の担当者が行方不明だ。
おのれ!テロポン許すまじ!
「サーシア、この一件は私が仕切ります!」
「え、えぇ、お任せするわね。」
ルルナが燃えている。
「そやけど、どないしますのん?」
コイントに生産拠点がある事は判ったが、誰が関わっているかは一切が不明だ。
だがルルナにはそんな事は関係ない。
証拠なんか要らない。
疑わしきは潰す!
「十二支を総動員します。虱潰しにあぶり出しますよ。
うひゃひゃひゃひゃひゃ。」
怖ぁ~い
ルルナ怖ぁ~い




