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大聖女エルサーシアの娘たち~あっちゃこっちゃで大騒ぎ!  作者: おじむ
第四章 堪忍すてけろ
29/97

*第29話 愛あればこそ

はぁ~い、(カシャカシ)いいよぉ~!(ャカシャッ!)

もう少し足を(カシャカシ)開いてぇ~!(ャカシャッ!)

そうそうそう!(カシャカシャッ!)

可愛いよぉ~!(カシャカシャッ!)


「なんで私まで・・・」

「道連れだべさ!」


このままでは逃げられないと思ったシオンが、最後の悪あがきをしたのだ。


「エリーゼさ一緒でねが行がね!」

無関係の人間をほいほいと聖地には連れて行けないだろうと思った。


「じゃぁその子も連れて行きましょう。」

ほいほいと連れて行くようだ。


「この格好で撮るの?」

「んだなや。」


銀色の細かいうろこ状の生地で出来た、超ミニのワンピース。

ロングブーツに手袋。

頭には触角の生えたカチューシャ。

挿絵(By みてみん)


これは・・・あれだ。

いわゆるピンコレデーのコスプレだ。


向い合せで両手を(カシャカシャカシ)繋いでぇ~!(ャカシャッ!)

指を絡ませて(カシャカシャカシャ)ねぇ~!(カシャッ!)

体をくっつけ(カシャカシャ)てぇ~!(カシャッ!)

いいよいい(カシャカシャ)よぉ~!(カシャッ!)

じっと見つめ合っ(カシャカシャ)てぇ~!(カシャッ!)

うん!最高ぉ(カシャカシャ)~~~!(カシャッ!)


「ちょっと!顔が近いわよ!」

「しょがねべさ!」


ほら!エリーゼ!(カシャカシャ)笑って!(カシャッ!)

そうそうそう!(カシャカシャッ!)

もうYou達チュ~(カシャカシャカ)しちゃいなよぉ~!(シャカシャッ!)


「無理だべさ!」

「出来ません!」


その後も散々にチラロイドされた二人は、夕方になってようやく解放された。


「どうしよう・・・親にバレたら勘当されるかも・・・」

「会員制だはんで大丈夫だぁ。」


平凡同好会のファン倶楽部会員向けの冊子で、

通し番号の入った一人一冊の限定品だ。

外部には流出しない。


たぶん・・・


あっ!忘れてた!

サーシア様に今後の事を相談しないと!


エリーゼを寮まで送り届けて、大急ぎで城に帰った。

ギリギリで晩餐には間に合った。


「何所へ行っていたの?」

リコアリーゼが駆け寄って来た。

姿が見えないので心配していたらしい。


実は斯々(かくかく)然々(しかじか)と事情を話す。


「もう!あの子達はろくな事をしないわね!後できっちり叱っておくわね。」

「えんやぁ、けっこう楽んのすがったべさ。」

「そんな美味しい事をしてたの?見逃したわ!一生の不覚!」

「次からはちゃんと誘う様に釘を刺して置きましょう!」


シオン大好きの二人は悔しそうだ。


食事の後はお茶の時間だ。

「あんのぉ、サーシア様ぁお話さあるべな。」

「なぁに?」

「やっぱすオラぁ・・・」


昼間に考えていた事を話す。

エルサーシアは優しく微笑んでいる。

三姉妹も黙って聞いている。


「シオンがしたいようになさいな。殿下には私からお断りして置きましょうね。」

「えがね?」

「えぇ、もちろんよ。」


エルサーシアは身内にとことん甘い。


「ねぇシオン、一緒に歌劇団を作りましょう!」

「カゲキダン?」

「歌って踊るお芝居よ!」

「そりゃ面白れぇだべな!」


「あら、孤児院の子供達と作ったでしょう?」

「あれはお遊戯ゆうぎですわ、お母様。今度は本格的に作りますのよ!」


アルサラーラの夢は、オバルト王国の首都に在る女性だけの劇団。

コブシ歌劇団に入団する事である。


「演目はもう決めて有りますのよ!ウルサイヨのバラですわ!お母様!」

「まぁ!それは素敵ね!」

「ねぇお母様、劇で歌う精霊歌を作って下さいな。」

「それなら丁度良いのがあるわよ!」

「聞かせて下さいませ!お母様!」


「えぇ良いわよ!」


ジャラァ~ン♪


ののしり~♪それは~♪

 甘~く~♪


むち~♪それは~♪

強~く~♪


なわ~♪それは~♪

尊~く~♪


蝋燭ろうそく~♪それは~♪

気高~く~♪


あぁ~い~♪

あぁ~い~♪

あぁ~~~♪

い~~~♪


あぁ~~~♪

叩かれ~て~こそ~♪


生き~る喜~び~♪


あぁ~~~♪

踏まれ~て~こそ~♪


世界~は広がる~♪


痛み故に~♪

人は美~し~~~♪』


ジャァ~~~ン♪


「感動ですわ!お母様!」

「良ぐ分がんねけんど、すんげぇ~。」


レイサン家は愛に満ちている。


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