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大聖女エルサーシアの娘たち~あっちゃこっちゃで大騒ぎ!  作者: おじむ
第二章 修行するだぁ~!
14/97

*第14話 精霊歌

聖女が民を祝福する為に歌う精霊歌。


だが精霊言語でうたわれる歌詞の意味を誰も知らない。

「どんな内容ですか?」と聞いても、微笑むだけで教えては呉れない。


人々にとって精霊言語とは魔法を発動させる為の呪文である。

ただひたすらに丸暗記して唱える。

発音も独特で、正確に唱える事が出来るのは聖女だけだと言われている。


メロディーに乗せて呪文を羅列られつしたもの。

それが民衆の精霊歌に対する理解である。


実は違う・・・


その正体は『日本語』で歌った替え歌である。

時にはアニメソングであったり、またある時には昭和歌謡であったり。

エルサーシアがその日の気分で適当に歌っているだけだ。


行く先々でわれるままに披露して来たが、

本人はストレス発散のカラオケとしか思っていない。


その歌声に民衆は感動し、滂沱ぼうだの涙を流す。

精霊の祝福だと信じて・・・


**********


「お母様!新作が出来ましたわ!」


リコアリーゼが自作の替え歌・・・

精霊歌の書かれたノートを持って、

夫婦でお茶をたしなんでいるエルサーシアに駆け寄る。


「まぁ!これは”星の王女様”ね!」


フランスの小説家が書いた名作童話。

日本でもアニメ化されて大ヒットした。

その主題歌が標的にされたのだ。

ご愁傷さまである。


「入学式で歌おうと思いますの。」

「それは楽しみね!みんな喜ぶわよ!」


「私も楽しみだよ!アリーゼ!」

父親のカルアンは娘達を溺愛している。

リコアリーゼの全てを肯定する。


「どうせろくでもない歌でしょう?」

ルルナがうんざりしながら言う。


「貴方にはこの素晴らしさが解らないのね。

替え歌にもスキルが必要なのよ!言葉の響きが重要ですの!」


「内容が下らないと言っているのです!」

殆どが下ネタである。


「これは違うわルルナ!親子の愛を表現したのよ!

ほら!見て頂戴な!」


リコアリーゼが自信作を見せる。


「どれどれ・・・」


苦虫を噛み潰し、カメムシを鼻の穴に詰め込んだ様な顔でルルナは言った。


「下らない。」

挿絵(By みてみん)


**********


精霊教聖地総本山精霊院。

記念すべき第一期生の入学式が執り行われている。

世界中から王侯貴族の子息子女、裕福な商人の跡取り等が、

名誉と人脈を求めてつどった。


大聖女が学長を務め、栄えある一期生には”夢の聖女”、

長女リコアリーゼが居る。

新設された基礎教育科には妹聖女も入学する。


多くの新入生が聖女とお近づきになり、

覚え目出度くあれかしと言い含められている。

小さな肩に重圧が掛かる。


エルサーシアが壇上に登る。

ざわめきが凍り付き、会場が静まり返る。


「皆様、頑張って下さいましな。」


それだけ?


それだけだった・・・(ざわざわざわざわ)

戸惑いが広がり(ざわざわざ)再び会場が(わざわざわ)ざわめき出す(ざわざわざわ)


「もう少し言う事は無いのですか?」

ルルナが呆れている。

「え?ありませんわよ?」


「この目出度き日に~とか、うららかな春の日差しが~とか、

定番の式辞しきじがあるでしょう?」


「嫌よ、面倒臭い。」

「あぁ~また始まった・・・」

「アリーゼ、新入生代表の挨拶をなさいな!」

「はい!お母様!」


やるのか?

あれを歌うのか?


演台えんだい登壇とうだんしたリコアリーゼ。

大きく息を吸い、良く通る声で開口一番。


「精霊歌を歌いますわ!」


やっぱり~~~!


この歌を世界中(チャ~~~ラ)の薄毛達に(ラ~ラ~~~)

また自分がフサフサ(チャ~~~ラ)だった頃を(ラ~ラ~~~)

忘れがちなツルッ(チャララ~ラ)パゲ達に(ラ~ラ~~~)


そしてウブ毛(チャラララ~)だけでなく(ラ~ラ~~~)

頭皮の本当(チャララ~~~)の輝きを(ララ~ラ~)

見つめる勇気(チャララ~~~)を持った(ララ~ラ~)

すべての予(チャララルン)備軍に(ランラン)

心からの友愛を(チャラララ~ン)こめて贈ります(ラ~ンラ~ン)


サン・ツルピカリ』


ズンタンズンタン(ピロリロピロリロ)

ズンタンズンタン(ピロリロピロリロ)


頭~の~(ズンタッタ)真~上~に~(ズンタズンタッタ)

ハゲが~~~(ズンズンズンッタ)あ~る~(ズンタタタ)


あれが~(ズンタラ~ン)

あれがボ~クの~(タララズンタタ~ン)

パ~パ~だ~よぉ~(チャ~ラ~ラ~ラ~ン)


アデールラァ~ンス(ピロリロリ~~~)

アデールラァ~ンス(ピロリロリ~~~)


ルルルル(チャラララ)ル~ル~ル~(チャ~ラ~ラ~)


あまり~に~(ズンタッタ)見~事~な~(ズンタズンタッタ)

ヅラだ~~~(ズンズンズンッタ)か~ら~(ズンタタタ)


誰も~(ズンタラ~ン)

ハゲてい~ると~(タララズンタタ~ン)

知~ら~な~い~(チャ~ラ~ラ~ラ~ン)


アデールラァ~ンス(ピロリロリ~~~)

アデールラァ~ンス(ピロリロリ~~~)


ルルルル(チャラララ)ル~ル~ル~(チャ~ラ~ラ~)


だけど~~~(あ~~~)取るんだよぉ~(あ~あ~あ~)

お風呂~の~(あ~~~)と~き~は~(あ~あ~あ~)


そのう~ち~(ふ~~~る)ボクにも~(る~るる~)

遺伝~(らら~~~)す~る~よ~(ら~ら~ら~)


ルルル~(ピコピコ)ル~ル(ピ~)

ルルル~(ピコピコ)ル~ル(ピ~)

ルルル~(ピコピコ)ル~ル(ピ~)


ハゲの~~~♪(ジャジャ~ンカ)

お父様~~~(ジャカジャカジャ~ン)♪』


ジャァ~~~ン♪


「わ、私はハゲでは無いよぉ~!」


カルアンの魂の叫びが会場に空しく響く。


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