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98 宝のありか

 証言をした者はつい口を滑らせた様だったという。興奮しながら聖女の事を語りつつ、今まで誰もが語ろうとしなかったその力について口に出したのである。


 初めはその場にいた者の誰もが信じなかったそうだ。そうなると、証言をした者の意地とでもいうのだろうか、ムキになって事細かに自分が死んでしまった時の事を語ったという。他の者はどうか分からないが、この者は冤罪で投獄され獄中での病死だった。だから蘇らせて貰ったと声を大にして言えたのかもしれない。  


 自分は確かに死んだ!でも生き返ったんだ!と話し続ける男を側から見れば、どうにも正常な精神状態ではない様にも見えなくも無い。が、情報は情報という事でこの様な証言があった程度の内容でハンガ国皇太子オレオンの元に上がってきた。

 

「これが本当ならば、物凄い事だろう?是非とも!会ってみたい!そうは思わないかい?サーラン!」


 有頂天の皇太子オレオンとは対称的に皇太子妃サーランの顔色はどんどんと悪くなる。

  

 

 殿下が、この聖女を見つけたら、今までと同じ様に早速その力を()()()()のだろうか?……死体でも作って………?


 皇太子妃サーランは、ブルッと一瞬身震いをする。


「どこにいるのだろか?この聖女は……?」


 誰もが口を開かないその場所とは?


「ここには、獄中で死亡したと書かれている…!」


 そう証言した男の名前は、確かに公式の投獄記録にも獄中にて病死と書かれていて間違いない様だ。


「では、聖女は獄中に居るのか?なぜ?捕まっているとか……?」


「まさか、殿下、ガーナード国ともあろう場所で聖女が捕まることなどありえないのでは?」


 すっかりと朝食を摂るのも忘れて皇太子オレオンは必死に聖女の居場所を推測し出す。


「…市中では?……市中では、城下に聖女殿が居られるという噂で持ちきりの様ですわ。」


 朝から侍女達が噂していた様に、もしかしたら、城下町の何処かに隠れているかもしれない可能性もある。


「よし……騎士隊長を呼べ!」

 

「はっ」


 ジッと考え込んでいた皇太子オレオンは侍従にそう言うと、急いで席を立った。


「殿下…!?」


 まだ朝食中であるのにも関わらず、皇太子オレオンは部屋の外へと出て行こうとしていた。


「あぁ、サーランはゆっくりと食べておいで?私は先に退室するよ。やっと手がかりが分かりそうなんだ。素晴らしい結果を君に届けられる様に頑張るよ!」


「……殿下……」


 皇太子妃サーランの不安には気付こうともせずに颯爽と皇太子オレオンは退室してしまった。


「皇太子妃殿下……」


 お茶のおかわりを注ぐ侍女に声をかけられる。どうしようかと考えていたらいつの間に、砂糖をティーカップではなくテーブルに振りかけていた。


「………少し、耳を貸して頂戴………」


 お茶を飲むのを諦めた皇太子妃サーランは側に寄った侍女にある事を耳打ちした。

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