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93 ガーナード城開城 3

「えぇ!?」

 

 皇太子妃サーランの言葉に、皇太子オレオンは酷く驚いた様な声を出した。


「サーラン!それはダメだよ。ちゃんと調べなければ、聖女方の力の素晴らしさが分からないだろう?」


 …そんな事は無いはずだ。何故ならば、ここはガーナード国で聖女の生まれ故郷。その力の見分け方も秘伝のものがあると聞いているし、聖女の存在は周辺諸国に響き渡っていると言うのに…


「何かの道具で測るより、直接目で確かめなくては、その素晴らしさは半減以下だ!折角聖女の国に()()()()()!そんな勿体無い事をするつもりは無いよ?あぁ!どんな素晴らしい力に出会えるのだろうか?ハウアラも()()()だったが、それ以上の者が見つかるかもしれない…!楽しみだ!」


 皇太子オレオンが聖女の存在に興奮する程喜んでいるのも致し方無いのだ。皇太子夫妻として成婚するよりも前に、早くハンガ国にも聖女を呼びたいと、何度も呟いていたのを皇太子妃サーランは覚えている。妻としての自分を見るよりも前に、皇太子オレオンは聖女を望んでいたのにも気がついていた…

 少しでも自分の方を向いてはくれまいか、と儚い期待もしていた皇太子妃サーランだったが、恋愛で結ばれた成婚では無いからそれでも受け入れなければならないと思ってもいた。


 が、此度のことにはどうしても目を瞑る事が出来ない理由がある。ハンガ国は内乱に手を貸したガーナード国側からしたら敵にあたる。そのハンガ国の者が次に聖女を試し辱める様な事を起こしてしまえば、今度はハンガ国に対する反乱に油と火種を更に投げ込む様な事になる。


 生きて、帰れないかもしれない………


 ゾクリ……と皇太子妃サーランの背に生まれて初めて命の危機に直面する寒気が走った…国の代表なのだからこんな事は然もあらん…けれど、そんな事などどうでもいいと言いたげに、子供の様にワクワクしている皇太子オレオンが不思議でならない…


 この方には、恐れというものが無いのだろうか…?命を脅かされる事など無かっただろうからそれも仕方の無いものなのかも知れないけれど……


「では、約束してくださいませ……皇太子殿下。聖女方と対面なさるときには是非、私も共にお連れくださいます様に…彼女達も女性がいた方が何かと心が解れましょう?」


「なるほどね…君の意見も最もだね。嬉しいな。サーランも聖女の事を気に掛けてくれているんだね?流石は私の妻だ……」


 皇太子オレオンは然も満足気に妻である皇太子妃サーランの豊かなブロンドの髪を指で掬って口付けた。



 何としても、ハンガがこのガーナード国で槍玉に上げられる様な事は防がなくては………!

 






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