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80 セルンシト王子の告白 2

「…何をふざけた事を?」


 この真面目な話の流れに、若干国王の顔色が変わる。


「ケイトル…冗談を言いに来たの?」


 王妃ダライナの表情も心配気なものへと変わりつつある中、はっきりとケイトル第二王子は再度告げた。


「いいえ、冗談ではありません。ここ、セルンシトにはまだガーナード国の内情がはっきりとは流れてきませんでしょう?」


 それもそのはず、疑わしきもの達は皆一斉に捉えられたのだ。その中には勿論の事、セルンシト国の密偵も多数いた。定期的に連絡が入る者たちからの連絡がない、と若干城の中が騒がしくなっていたのも確か。


「ガーナード国で反乱を起こした者達は、私達の様な密偵を炙り出し、裁判にもかけずに次々と葬っているのです。」


 城内の者達からの連絡は途絶えていても、城外にいる者達からは情報は入ってきていた。その者達からも城内の者達、ケイトル第二王子を含め密偵となっていた者達との連絡が途絶え、城内にも入れない、との連絡をセルンシト国王は受けていた。

 だから、ケイトル第二王子の帰国は事の他嬉しく、帰城の知らせを受けた時はそれは喜んだものだった。


「葬り去る……非常な手段だな……しかし!ならば、なぜお前は…?」


 本人が一度死んだと言ったのに、なぜ今国王の前にいるのか…?


「はい。ここからが、流石はガーナード国のなせる技と申しましょうか……私の遺体が放り込まれた所に、ガーナード国の聖女がおりました。」


 王子の遺体が放り込まれた、と生々しい報告をその本人から聞くとは、何とも複雑で嫌なものだろう。王妃ダライナの表情が曇っている。


「申し訳ありませぬ。母上を苦しませたくはありませんが、話す事は全て事実です。それをお聞きになって、ご判断くださいますように。」


「それで…?」

 

 セルンシト国王は先を促す。


「その聖女の力は非常に強く、ご覧の通り、死者をも蘇らせる力の持ち主でございました。」


 真っ直ぐに王の目を見つめつつ、嘘偽りはないとケイトル第二王子はキッパリと言い切った。


「むぅ……それを、確実に証明できる者はおるか?」


「はい!同じ様に他国の者達も何人もこの様にして国に帰っております。」


「まとこか……」


「ええ、我が国の密偵も何名かは…こちらに向かっているかもしれません。」


「あなた………ガーナード国はどうなるのでしょう?」


 かねてより、どの国も機会あれば、あわよくば、と狙われ続けていた国であるが、何処の国もこんなに具体的な策でガーナード国を追い詰めた国はない…


 王妃ダライナはガーナード国の聖女だ。彼女の力は、場を穏やかにする、とか和やかな雰囲気を作るなどのあまり目立たないもの。力が無いと言われても分からない種類のものだ。セルンシト国王はそっと王妃ダライナの手を握る。


「ヒルシュに書状を送ろう…」




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