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74 ハンガの憂鬱 3

「さ、しっかりと召し上がって。」


 どうしたものか、酷い精神状態のまま皇太子妃の居室に連れてこられたハウアラ側妃は、皇太子妃の侍女達によって身なりを整えられ、晩餐の席に着く。


「私……」


 とてもじゃないが、食事が喉を通る気はしない…


「いけません。お食べなさい。どれも柔らかく調理してもらっておりますから喉には通りやすいはずです。」


 こちらの状況をよく理解している様な皇太子妃の言葉に、ずっと目線を下げて手元ばかり見ていたハウアラ側妃はやっと視線を上げた。


 そこにはいつもの様に凛とした気高い皇太子妃の姿があって、その佇まいに惚れ惚れとすらしてしまう。豊かなブロンドの髪に碧眼の瞳、発する声までもがキラキラと輝いて聴こえる程、神々しさすら感じる事があるハンガ国皇太子妃サーラン。


「ご心配をおかけしました…」


 まずは謝罪の礼を取るハウアラ側妃、食欲など何処を探しても見つからないが、目上の皇太子妃サーランに言われれば逆らう事さえできはしない。


「ありがたく、頂戴致します…」


 ナイフとフォークを手に取って、少しずつ食事を口に押し込んでいく。


「そうです。生きる為には生きる力が必要だわ。国と国の争い事には女性は口を出せません。けれど、ね?けれど私達だとて生きる権利は有るのです。食べる事を辞めて、生きる事を辞めてしまったら今後の全てを見る事も叶わなくなります。」


「………今後の、全て……?」


「オリオン様は…あの方は……ここ、ハンガを聖女の国にしようとしています。」


 サラッと、けれど、一言一言はっきりとそう告げた。


「…ここ、ハンガをですか……?」


 なんだか頭がボウッとする。昼間からの出来事がまるで全て夢であったかの様な気さえする。

 そんな事が…?出来るわけがないそんな事が実際に今起ころうとしている?ハウアラ側妃には最早理解の範疇を超えてしまったかの様だ。


「そうです。何を思っての事か…勝算はあるのか、それさえも私にはわかりません。勝機無くば、ハンガが滅びます…」


 皇太子妃のこの言葉に今度こそハウアラ側妃は手に持ったナイフもフォークも落としてしまった。


「そして、運悪くも…火蓋は切って落とされているのです。我が国ハンガには最早後に引く道は残されてはおりません。」


 どこか、遠くで聞こえる皇太子妃サーランの声。心なしか皇太子妃サーランの顔色も悪い。噛み締める様な皇太子妃サーランのその言葉から、昼間の悪夢が現実だと目の前に突き付けられた気分になった。


「私達王族には、この戦の行方を見届ける、義務と責任が有るのです。ハウアラ第二側妃…祖国については心が悲鳴を上げようとも、オリオン皇太子殿下は聖女方に無体を強いたりはいたしますまい。だから私達は、騒がず最後までしっかりと見届けましょう。」









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