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67 ガーナード国の状況

 密偵による諜報は有益なものでヒルシュ国に逃れて来たガーナード国の騎士からの証言と併せて現ガーナード国内の状況を浮き彫りにして行く。


「ソルダム伯爵がハンガと通じてハドリー侯爵を引き込んだ…ハドリー侯爵家はソルダム伯爵の娘の嫁ぎ先でハンガのハウアラ妃の生家にあたるからな…分からないでもないが…そんな事をしてソルダム伯爵に何の得がある?」


 いくら考えても、王を裏切り国を他国の手に渡す…それの動機が未だにルワンには理解できないでいる。


「聞けばソルダム伯爵もかなり家族を大切になされるお方とか…」


 ガーナードの騎士や他国の騎士とヒルシュ国王の執務室には多様な面々が揃っていた。


「そうですね。ソルダム卿の孫可愛さが今回の発端になっていると言っても過言ではありませんね。」


「しかし、先に声を掛けたのはハンガの方とか…」


「では、最初は裏切る気は無かったと?」


「ええ。再三に渡る接触が功を奏したと口を滑らせている者がおりました。」


「……もしや…もしやですが、ハウアラ妃の身柄を盾に、取られているとか…?」


「いや、それは無さそうだ。ハンガの皇太子夫妻は仲睦まじいとの噂もある様だし…」


「それは噂だろう?」


「そうとも言い切れない…ガーナードにいた時にはここ、ヒルシュに婚約者が居たはずだが、直近の者達の話ではその方の名前すら話題に出ないとか…」


「まさか…嫁ぎ先で元婚約者の話などおいそれと出来無いのが当たり前ではないのか?」


「いや、何を言う…!ここだけの話だが、成婚していても、愛人を囲ったり、遊び歩いたり…中々肝の据わった方もいるにはいる……」


「王室でか?」


「まぁ、どこかの王族の一部でって事に止めておくが…」


「成る程、確かに貴族の中でもそんな話は珍しくはないな。」


「そう!それなのにですよ?ハウアラ妃の周りには浮ついたそんな話は一切ないのです…」


 皆口々に知り得る情報を出し合う。ここでは誰が発言しても咎められる事はない…ガーナード国を取り戻す為に皆ここに集まっているのだから。


「かえって、それが少し、疑わしくもありますね…」


 静かに話に割って入って来たのは、先程ヒルシュ国に着いたばかりと言うセルンシトの騎士だ。


「ハウアラ妃とここヒルシュ国の元婚約者殿はそれは仲睦まじかったのでしょう?ガーナード国に滞在していた時も、そんな噂は社交界に流れていましたよね?」


 その通り。ヒルシュ国侯爵家であるサリング侯爵家のジョルダン・サリングもハウアラ嬢との成婚を今か今かと待ち焦がれていた。のにも関わらず、ガーナード国側からの急な婚約破棄を申し渡され、何度も意義を申し立てたが一度としてハウアラ嬢と直接あって話を聞く事なくハンガに嫁いで行ってしまったとの事だった。意気消沈したジョルダンはその後パッタリと社交界にも姿を見せていないのだそう…


「そんな事があれば、気持ちはわかりますけれどね…」


 集まった人々の同情を一心に買っていた話題に今度はカンリールが水を差す…


「あぁ、ジョルダンだったら元気にやっているんじゃないかな?ハンガで。」


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