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66 カンリールの仕事

「お爺様…この礼は、ガーナード国奪還後生涯をかけて致します。」


 目の前のヒルシュ国王を筆頭に力強く、惜しみない協力を約束してくれている人々に恵まれているルワンは心から感謝した。


 ヒルシュ国王は頭を下げるそんなルワンに優しげな視線を投げる。その瞳からは国の利益云々では無く肉親の情がヒシヒシと感じられるものだ…


「其方の外見は父上の前ガーナード国王に良く似ている……しかし、その所作は母上譲りの様だ…若かりし頃のあれを思い出すよ…祖父とまだ呼んでくれるのか…まずは、その礼とやらはガーナードの為に使いなさい。貴国の安泰こそが我が国の平穏に繋がる。」


「肝に銘じて…心得ました…!」






「今、動けるのは…これと…これかな?」


 こじんまりとした執務室の中、カンリールとルワンは相対して革張りのソファーに座り今後の動きについて話し合う。

 カンリールは一見破天荒ぶりが目に余りそうになるものの、諜報に対しては並々ならぬ情熱の持ち主で、今ある手持ちの駒を惜し気もなく全て提供した。今までに無い大掛かりなこの状況で彼は自分の力を試せる事を非常に楽しんでいるようにも見える。


「うむ…」

 

「ルワン殿。僕にはさ、騎士の才はないんだ。で、今手の内にいる密偵達は殆ど騎士の出だよ。だからきっとルワン殿の方が上手く使えると思うんだよね。彼らをそのまま諜報員としてもいいし、戦力としてもいい。まだまだ騎士はガーナードから流れて来ているんだろ?」


 流れて来ている、と言うのはルワンと同じように地下処理場から()()()逃れて来た者達だ。着々とルワンの身近にいた騎士達が手元に戻ってくる。それだけでも心強いのに、彼等が来ていると言う事はあの聖女はまだ生きていると言う事…ガーナード奪還に合わせて、またあの聖女に会えるかもしれないと言う希望がルワンを少なからず支えているのを集まって来る騎士の顔を見る度にルワンは感じることになる。



「ここにいる者…全てが…聖女の成した技か………」


 ガーナード国の騎士ならば勿論ルワンの下に就く。が、他国の名高い貴族出身者の騎士や有名な剣豪や商人、型破りな所では戦に駆り出された力自慢の炭坑夫に罪人から奴隷になった者、はたまた盗賊崩れまで…ヒルシュ国王の元に来た書状や嘆願書からカンリールがズルズルと引き上げて手の内に囲い込んで来た人材の多い事…カンリールは少年の様に見えるのだが、人を魅了する力でもあるのでは無いかと思う程にあらゆる人材と言う駒を握っていた。

 ガーナード国の反乱を快く思わなかった者やあの聖女に息を吹き返してもらった者達ばかりなので一致団結させるのは容易かったかもしれないが、武器も力も無く国を追われた身のルワンにとっては、カンリールの統率力は剣にも盾にも代わる力となったのは言うまでもなかった。








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