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51 揺れるガーナード

 その日は突然に訪れた。夜も明けぬ内に事は全て済んでしまっていたとフィスティアは後に聞くことになる。




 フィスティアにはいつもの朝にいつも通りの仕事にと、永遠と変わらぬ地獄の様な日々が続いていくのだと思っていた。増えた荷運び人達に反して、ここには以前と同じ食事内容と量しか投げ込まれもせず、働く者よりも逆に飢えや病気の者が増えていく…そんな酷いいつもの日常なのに何やら上の階にいる役人達の様子は慌ただしく落ち着かない…自分達の事で手一杯の荷運び人達なので、他が少しくらい慌ただしくても地下に居る自分達に降りかかってこないのならば何も変わらないのと一緒だったのだが……


 ドシャ、ドシャリ…ドォ…


 恒例の荷が落とされてくる。が、その数がいつもの比ではなかった。


「……ガーナードの騎士だ……」


 落ちてきた荷を無表情で見ていた荷運び人がポツリと呟く。よく見てみれば土や血の染みが付いている衣類は馴染みがあるこの国の騎士達の制服だ。


「騎士様が…なぜ?」

 

 身寄りのない兵士ならばまだわかるのだ。戦で死亡しても遺体の引き取り人も無いのでは引き渡そうにも渡せないから。しかし、騎士である者達は大抵身分のしっかりとした貴族が多い。一般市民の出の者も居るにはいるが、その身元はしっかりと確かめられるのだから亡くなれば家に帰されるのが通例のはず……その騎士達が信じられない姿となってここにいる……それも一人では無い…中には近衞騎士も……


「近衛が……何故?国王陛下の身に何かあったのでは?」

 

 荷運び人としてここに投げ入れられている者の中にはフィスティアの様な貴族の出の者も居る。だから騎士や近衛の埋葬がこんな所でいいはずがないと良くわかっている者もいた。

 徐々にざわつき始めた地下処理場よりも上階の方が騒がしかった。ひっきりなしに声が飛び交い、時には荒々しい怒声も聞こえてくる。


「おいおい。穏やかじゃねぇな…一体何があったんで!?」


 ザッカルが下から叫ぶ。この部屋には外から鍵がかかっている為に中からは出られない様になっていた。監督役のザッカルも荷運び人達が出払っている間に鍵を開けてもらい交代で休息を取っている。それ以外では基本監督役であっても好きに外には出られない。


「反乱だ!!反乱軍が、国王軍に取って代わり、城内を制圧した!!」


 上から顔を出した役人の表情がこれ以上ない位、険しく強ばっている…


「反乱だ!?誰がそんな事をしたってんです!?」


「まだ首謀者なんぞ分かるか!ここにはただ…知り合いの死体が運ばれて来るだけだ!」


 役人の言葉に死んだ様な表情の荷運び人達の中にも#漣__さざなみ__#の様に動揺が広がっていく………上の階の役人達もこの事態には混乱の極みだろう。詳しい情報が入ってこず、ただ反乱が起こったとしか知らされていない。どんどんと投げ込まれる様に運ばれて来る死体の中には友や知り合いもいる。その恐ろしいまでの現実を目の前にして、次は自分達かもしれないのだから。


「嘘だ……あの人は……」


 知り合いらしい騎士がいたのだろうか?何人かの運び人から小さな悲鳴の様な声が上がり、中にはうずくまってしまう者さえいた。

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