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47 死体の中の聖女 2

 フィスティアはなるべく弱った仕事人と共に働く様にした。相方に力が無ければ進む速度も遅く、道端で休んでいても怪しまれもしない。相方が力尽き蹲ってしまった所で荷車の上に乗り、死者に対し力を使う。本当ならばそこに居る全員を生き返らせたかったが、廃棄場である大穴に空の荷車で向かう訳には行かなかった。申し訳なさで一杯になりながらも荷車の中で一番若い者を生き返らせる事に決めた。傷や病気を完全に癒しても体力そのものを増強出来るわけではなかったから森から逃げることが出来そうな機敏な若者を中心とする事にしたのだ。


 生き返った事を知るや、皆んな一様に酷く恐縮し自分の行った過ちについてフィスティアに平伏す勢いで懺悔し出した。が、フィスティアも自分に謝られてもどうする事もできないため、この事は他言無用で自分の国や家に帰りこの先静かに暮らす様にと良くいい含めて逃げやすい道を教えるのが精一杯。

 特にガーナード国の身分の低い兵士達は貧しく帰る家もない様な者も多かった。自分が蘇った事を知るや涙を流して喜び、フィスティアを聖女の化身と崇め奉る勢いで称えだす…


「静かにして下さい…!私は王の怒りを買った者です。この事が公になれば国王は私を絶対にお許しにはならないでしょう。どうか、ここであった事は誰にも言わず、田舎へ行って静かにお暮らしなさい。」


 何度も何度も頭を下げて礼をする者達にフィスティアは何度も言い渡した。国の宝とも言える聖女が地下処理場で幽閉も同然として働かされている。それも、貴族の出であろう方が全身泥まみれ、薄い粗末な衣類だけを身に纏って……なんと嘆かわしい事だろう…余程の理由があってのことか、と皆んなはこの事をここだけの事として胸にしまっておいてくれる事を約束してくれた。


 フィスティアは自分の存在が外の人々に明かされる事を恐れてもいたが、この様に何度も感謝を示してくる兵士達からは城外の情勢を見聞きする良い機会ともなり、ここから一歩も出る事ができない身としては大いに助かってもいた。

 ガーナード側の兵士の死体の数が増したかと思えば当然戦禍は治ってはおらず、アノモラ国とクトルド国両国ともガーナード国に攻め入ろうと小さな隙を見つけてはそこを突いてくる緊張した状態が続いているという。何方の国をも決定的に押さえ込む事ができないガーナード国は防戦一方…その裏ではヒルシュ国とセルンシト国に向かって助勢を依頼しているとか…


 ガーナード国が今苦しい立場にいる事が改めてわかる。なんとか乗り切って欲しいと願いながらフィスティアは王ルワンを思い出す……


 最後に会ったのは……ここへの宣告を言い渡された時……誰にも顧みられずに死んでいけ…そう言い放った酷く冷たい瞳と低い声が今も尚、鮮明にフィスティアの脳裏に浮かんでくる…………


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