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4 寂しい新婚と帰城の知らせ

「お忙しいのですか?」


 皇太子夫妻の成婚が為されれば、世間で言えば新婚の時期にあたる。けれど、ガーナード国は周辺国との小さな小競り合いが絶えず、時に国の判断を仰ぐ争いにまで発展してしまうこともある。

 皇太子ルワンはその度毎に駆り出され、後処理をし、周辺国との和平の為の会談に駆り出される事になった。


「その様です。フィスティア皇太子妃殿下におかれましては体調を労わり、御心安らかにお過ごしになられますように、と伝言を預かってまいりました。」


 伝令役としてガーナード国へ戻ってくる騎士が皇太子ルワンの近況をフィスティア妃へと伝えるばかりで、ここ数日手紙さえ書く事のできない程の多忙ぶりと言う。

    

 皇太子ルワンはガーナード国の東にあるハンガ国との間に起きた小競り合いから発展した武力騒ぎの収束の為に出かけていき、もう数週間程顔も見ていない……婚儀の後、二人で過ごした時間はどれくらいだろうか?丸々1日一緒にいた日なんて無いんでは無かろうか?

皇太子妃となったからにはフィスティアにも妃としての務めがあるため暇ではないし、現国王を今まで見てきたので忙しいのも熟知してはいたが、やはり寂しさは隠せず顔にも出ていたようだ。




「ご安心ください。フィスティア皇太子妃殿下、明後日にはルワン様は戻られますよ?」


 何回目かの伝言だけのやり取りの後に、騎士はそっとフィスティアに告げた。


「え…?本当ですの?」


 フィスティアの所へ来た騎士はルワン皇太子の一番の側近とも言えるラート・エクセルで、国家間の衝突の後始末が無事に終了した事を一足先に国王に告げに来ていた。その帰り道にフィスティアの元へと足を運んでくれたのである。


「はい。全て無事に収めましたので…ルワン様も今頃は帰国支度に追われている頃かと思われます。」


 ラート・エクセルは幼少の頃よりルワン皇太子と気が合い、何をするにも二人で競い合ってきた仲でもあり、ルワン皇太子にとっては親友とも言える存在だった。主従関係の今でも、ラートは皇太子の事を名前で呼ぶ事を許されているほどだ。ラートの生家は伯爵家だが、代々この家の者は国の護りの要としての武勲を立ててきた家で、勿論ラートは、ルワン皇太子を始め国王からの信頼も厚い頼もしい騎士の一人だ。


 そんなラートからの報告に、フィスティアは心から安堵のため息をつく…


「……良かった……ラート様、どうか道中お気を付けてお帰りくださいとお伝えくださいませ。」


「承りました…あの、皇太子妃殿下…もう様、は要りませんので、どうぞラートとお呼びください。ルワン様に知られたら私めが殺されます。」


「まあ!私ったら、いけませんね…癖が中々取れなくて、ラートが殺されてしまわないように気を張っていないと!」


「ふふ、お元気なお顔になられましたね?ルワン様に良い土産話ができました。では、私はこれで…」


 あと、数日………ルワン様が帰ってこられる……

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