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39 荷物の行方

 理解に苦しむ………理解しようとしてもフィスティアの頭は拒否している。理解なんて出来るものでは無いと思う……


 けれどこれはフィスティアに王ルワンから与えられた罰なのだ。自分の聖女としての不甲斐なさへの罰………


 言われた通りに死体を持ち上げ荷車を満たしていく…床も手足も服も荷車も何とも言えない汚れに染まりつつそれぞれ自分のやれるべき事を熟す。荷車に積まれた死体は部屋の外へ森の奥へと向かって運ばれる。こんな仕事をしていない時ならば、王家の森の自然豊かな事を胸一杯に堪能して散策でもしたい気分にもなるだろう。けれど、今フィスティアと同道しているのは、死んだ目をした無表情の少年と物言わぬ誰とも分からぬ数体の遺体…散策などと夢にも思う事はなかった…


 森の奥へと運ばれて行く遺体達は森の奥で穴掘り人に掘られた大きな穴に打ち捨てられて行く…その名の通りに、ゴミを処分する様に………


「貴方の名前は何と言うの…?歳は?出身は?ご家族は今どこに……?」


 今日一日荷を運びながらフィスティアが少年に問いかけた質問の一つにでも少年は答える事すらしなかった。本当ならば思い切り体を動かして同じ年頃の子供達と遊び呆けている位の年齢なのに…この子はここで何をしているのだろう?

 何も自分の事を語らない少年にフィスティアは声をかけ続けた。ここで、こんな異常とも思える仕事をしている自分がおかしくならない様に、必死に少年に声をかけ続けた。


 夕暮れになれば仕事は終わる。荷車を部屋の角へと片し日が沈むと共に燃料が切れた様に皆んな動かなくなる。

 

 衝撃的過ぎてフィスティアはもう言葉が出てこない…先程までは煩いくらいに少年に話しかけ、現実から目を逸らそう、逸らそうとしていた。目を背けたところで現実は変わらないけれど……


 

 酷く…汚れている……



 自分の手や服身体…全てに染みつき汚れている様にしか思えない…



 落とさなきゃ……汚れた所を洗わなきゃ……



 けれど、ここには浴室も無く、綺麗な水を運んで来る侍女すらいない…何も無い……何も持っていない…ここには………自分は自分の身体すら清める方法さえも何も知らない……



 何も無い…何も、持ってない…

 私には……何も……………



「うっ…………」


 現実が一気に今の自分の姿を浮き彫りにする。死臭の汚れと匂いに塗れて逃げる事も、助けてくれる者もいなくて、ただ迫り上がってくる吐き気に襲われた。


「こっち……」


「えっ……?」


 涙を流しながらエグ付いているフィスティアに少年が声をかけた。


「そのまま寝たいなら別にいいけど…夜、ネズミに齧られるよ。こっち……」


 動きたくは無かったが、背を丸めたままフィスティアは少年について行った…

 

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