37 地下処理場 3
「なんだあんた食わねえのか…ならいいや、あんたの分浮くしな!」
あんな物で喜んでいる者が信じられない…
フィスティアはただフルフルフルと首を振って食事は取らなかった。恐ろしい事に後から知った事は一日の食事があの朝の一度きりという事だ。そして外にいた者達は敵国の捕虜だと言う。小屋の中にいた者達はガーナード国の犯罪人や奴隷達…あれでまだ待遇が良かったのだ。食べ物を一日中口にする事が出来ない者が出るなかで彼等には小屋と布団、食事が与えられるのだから。それでもガーナード国側の者達も皆揃って痩せ細っている……ここは真面に人を生かそうとしない所だと判断した方が良さそうだった………
食事が終わればもうすっかり夜が明けている。次は問題の仕事だろう。食べ終わった者達はノロノロと立ち上がり部屋の角へ寄せられていた荷車を取りに行く。あれで荷を運ぶ様なのだが、その肝心の荷物はどこか?辺りを見回しているフィスティアの目に、外から来た者がフラリフラリと部屋の中心、先ほどパンが投げ入れられた場所へと歩いて行くのが見えた。彼は這いつくばって床を舐める様に見つめ、何やら落ちているパン屑を拾っているらしかった…浅ましい程の姿に怖気を覚えてしまうが、生きる為に飢えを満たそうとするその者にはそうするしかなかったのだろう…食事を口にはしていないフィスティアの方がまだ体力が有り余り、申し訳ない様な気さえする。
「おい!新入り!お前もこいつと一緒に荷台を動かせ!」
ザッカルがボウっと周りを見つめていたフィスティアに声をかけてくる。こいつ、と言われたのはまだまだ少年の様に見えた。この子も酷く痩せていて子供らしい表情もない。実際の年齢は分からないが10歳ほどの子供に見えた。その子は小さな体を使って、大人が寝そべってもまだあまりありそうな大きな荷車を動かそうと必死になっていた。
「よく聞け!働かない者は外に追い出す、明日の食事はないと思え!」
そう告げたザッカルの手には柄の付いた長い鞭が握り締められていた。
「それともう一度言うが、逃亡は無理だ。ここは王家の森で猛獣が離してある!一定の距離での移動ならば騎士と狩人が猛獣を寄せ付けないが、それ以上進めばお前らなんかは直ぐ餌食になるぞ!!」
恐ろしい事だ。王家の森があるのは知っていたが、まさか猛獣が離してあるとはフィスティアも聞いた事がなかったからだ。外に通じていると言っても、これでは逃げる事も叶わないのだろう。ここにいる者はこんな苦境でも歯を食いしばって生きていくしかない。
「さあ!荷が来るぞ!お前らの仕事だ!今日もたっぷりと運べ!!」
ザッカルの説明後、覇気もやる気も生気もない者達の目の前にそれは落とされて来た…………




