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35 地下処理場

「おい!いるか!!」


 フィスティアを部屋の中に放り入れた騎士が叫ぶ…あくまでもフィスティアはまだ王妃の位から廃位されてはいないのにも関わらずこの横柄な態度を取る騎士は、ここまで来るまでにも無礼千万と思える対応をこれでもかとフィスティアに対して取ってくれた。今も床に王妃を放り投げても何も思わない様だ。


「……ここに……」


 小さな小屋と思われる建物の入り口付近で蹲っていただろう男が答える。


「新入りだ。いつもの様に同じ仕事を与えてやれ!」


 フィスティアが誰だとか、思いやりなんていうものもこの男には無いらしい。係官であろう男にそれだけ告げて木造りのドアをバタンと乱暴に締めてしまった…外からは鍵のかけられた音までする。


「…ほらよ…」


 まだ倒れたまま何をして良いのかわからないフィスティアの上に無造作に粗紐を組んで大雑把に編み込んで作った敷物の様な物がバサリと投げて寄越された。


「…これは?」


「あんたの分の敷布団だ。そんなんでも無いよりかはマシだろうさ…こっちに来い…」


 男はヒョイと手招きだけして小屋に向かう。


 ヨロヨロとフィスティアは後に続いた。

 

 男が小屋を開けると中に入る様にフィスティアを促す。小屋の中は薄暗く、思ったよりも広さはある…窓もない為どうなっているのかは良くわからないが、床一面に何かが敷き詰められている様にも見えた。


「ここが、あんたの眠る場所。仕事は朝日が昇ってから日が沈むまで…役人達は急がないからな奴らはごゆっくりと仕事をなさるんだ…今日はまだみんな寝ているだろうさ。」


「…仕事…?」


「そうだ。ここじゃ、働かない者は皆んな荷台に乗せて()()()()()()…そうなりたくなきゃ仕事に精を出すんだな…」


 ギラついた様な目をした男の言葉は何処か楽しげで一瞬狂気じみた物にも見えてフィスティアの背筋に寒気が走る…


「私の…仕事とは、何です?」


「何です…?何です?……クククッ

そりゃあいい!!あんた、ここがどんな所か知らないで来たのか!ハハハッ役人の奴らたまには面白い事をしやがる!」


 フィスティアは自分の仕事が何であるか知りたかっただけだ。何も知らされず何も言われずにここへ放り込まれたのも同然なのだから。こんなにこの男を面白がらせる様な事を言った覚えはなかったのに……


「うるせーーーぞ!!!ザッカル!!眠れやしねぇ!!そんな世間知らずこっちに連れてくんな!!!」


 小屋の戸口で話していたフィスティアはこの時初めて床に敷き詰められている物が、床で寝ていた人間達だと分かった………


「ここで……寝るのですか……?」


「そう、ここが今日からあんたの家さ…」


 ザッカルと言われた男はまだ楽しそうに笑っている。けれどその瞳には何も映してはいないようにフィスティアの事さえも見てはいなかった……

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